会社更生法 第130条(使用人の給料等)
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- 株式会社について更生手続開始の決定があった場合において、更生手続開始前六月間の当該株式会社の使用人の給料の請求権及び更生手続開始前の原因に基づいて生じた当該株式会社の使用人の身元保証金の返還請求権は、共益債権とする。
- 2.前項に規定する場合において、更生計画認可の決定前に退職した当該株式会社の使用人の退職手当の請求権は、退職前六月間の給料の総額に相当する額又はその退職手当の額の三分の一に相当する額のいずれか多い額を共益債権とする。
- 3.前項の退職手当の請求権で定期金債権であるものは、同項の規定にかかわらず、各期における定期金につき、その額の三分の一に相当する額を共益債権とする。
- 4.前二項の規定は、第百二十七条の規定により共益債権とされる退職手当の請求権については、適用しない。
- 5.第一項に規定する場合において、更生手続開始前の原因に基づいて生じた当該株式会社の使用人の預り金の返還請求権は、更生手続開始前六月間の給料の総額に相当する額又はその預り金の額の三分の一に相当する額のいずれか多い額を共益債権とする。
この条文の基本情報
使用人の給料等とは何ですか?
定義使用人の給料等とは、会社更生法第130条に定められた規定で、「株式会社について更生手続開始の決定があった場合において、更生手続開始前六月間の当該株式会社の使用人の給料の請求権及び更生手続開始前の原因に基づいて生じた当該株式…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第130条(使用人の給料等)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第130条の条文原文は「株式会社について更生手続開始の決定があった場合において、更生手続開始前六月間の当該株式会社の使用人の給料の請求権及び更生手続開始前の原因に基づいて生じた当該株式…」で始まります。
- 会社更生法第130条は第一節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第130条の前の条は会社更生法第129条です。
- 会社更生法第130条の次の条は会社更生法第131条です。
- 会社更生法第130条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第130条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第130条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/130
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法130条は、更生手続開始前6月間の使用人の給料請求権を共益債権とし、更生計画による減額を受けず随時弁済すると定める。退職手当や預り金も一定範囲で共益債権となる。
Q · 勤め先が会社更生に入ったら、未払いの給料や退職金はどこまで守られるの?
直近6月分の給料は満額、退職金は一部が優先弁済
会社更生法130条により、開始前6月間の給料請求権と開始前の原因に基づく身元保証金返還請求権は共益債権となり、更生計画による減額を受けず随時弁済されます(128条)。退職手当は認可決定前の退職なら、退職前6月分の給料総額か退職手当額の3分の1の多い方まで、預り金も6月分給料総額か預り金額の3分の1の多い方までが共益債権です。上限を超える部分は減額され得る更生債権に落ちます。
解説
勤め先が会社更生手続に入った。多くの人はこの瞬間「給料はもう戻らない」と覚悟する。だがそれは早とちりだ。会社更生法130条は、更生手続開始前6月間の給料請求権を「共益債権」(更生計画による減額を受けず、他の債権者に先んじて随時支払われる特別な債権)として扱う。つまり、取引先や金融機関が債権をカットされて泣いている横で、あなたの直近半年分の給料は満額の列に並ぶ。守られるのは給料だけではない。入社時に預けた身元保証金、給料の一部を会社に預けていた預り金、認可決定前に辞めた人の退職手当も、一定の範囲で共益債権になる。ただし注意すべきは、この保護に「6月分」「3分の1」という線引きがあり、いつ退職するかでその範囲が動くという点だ。何も知らずに諦めて辞めた人と、線引きを理解して動いた人とでは、手元に残る金額が桁で違うことがある。
法的な位置づけ
会社更生法130条は、更生手続における使用人(従業員)の債権保護を定める規定である。開始前6月間の給料請求権と開始前の原因に基づく身元保証金返還請求権を共益債権とし、退職手当および預り金についても6月分の給料総額または各額の3分の1のいずれか多い額を共益債権とする。共益債権は更生計画によらず随時弁済される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.債権項目を分類して立証資料を揃える 給料・退職手当・身元保証金・預り金の各請求権を項目別に整理し、給与明細・雇用契約書・身元保証金や預り金の受領証で金額を立証できる状態にする。どの項目が何条の共益債権枠に乗るかを把握する
- 2.管財人へ共益債権の届出と随時弁済を請求 整理した共益債権について管財人へ届出を行い、認可決定を待たず随時弁済(128条)を請求する。給料の共益債権部分は手続の進行を待つ必要がない
- 3.未払賃金立替払制度を機構へ申請 共益債権による回収と並行して、賃金の支払の確保等に関する法律に基づく未払賃金立替払制度を労働者健康安全機構へ申請し、回収ルートを二重化する
- 4.退職タイミングを認可決定基準で確認 退職を検討中なら、更生計画認可決定の前後で退職手当の扱いが変わる(130条2項)ため、日付を決める前に管財人へ手続の見通しと認可決定の予定時期を確認する
よくある質問 AI による整理
Q1共益債権はいつ支払われますか?
共益債権は更生計画の認可を待たず、手続によらないで随時弁済されます(128条)。一般の更生債権者が認可まで何年も待つのと違い、給料の共益債権部分は早期に弁済を請求できます。
Q2身元保証金は会社更生で返ってきますか?
開始前の原因に基づいて生じた身元保証金の返還請求権は共益債権です(130条1項)。入社時に預けて忘れていた金でも、優先弁済の列に並びます。
Q3社内預金や預り金は倒産したらどうなりますか?
開始前の原因に基づく預り金返還請求権は、6月分の給料総額か預り金額の3分の1の多い方まで共益債権(130条5項)。残りは減額され得る更生債権になります。
Q4会社更生法130条の6月分はいつから数えますか?
給料・身元保証金は更生手続開始決定の時点から遡って6月間が基準です。退職手当は退職前6月間の給料総額が計算の基礎になります。
Q5退職手当の3分の1とはどういう計算ですか?
認可決定前に退職した場合、退職前6月分の給料総額か退職手当額の3分の1の、いずれか多い方が共益債権です。定期金型の退職手当は各期の額の3分の1が基準(130条3項)。
Q6未払賃金立替払制度と共益債権は両方使えますか?
併用できます。共益債権で管財人に弁済を求めつつ、賃確法の未払賃金立替払制度で労働者健康安全機構から立替えを受ける二重の救済が実務の定石です。
Q7管財人に給料の支払いを請求する方法は?
給料の共益債権部分は随時弁済の対象なので、認可決定を待たず管財人へ届出と弁済を請求します。給与明細・雇用契約書で金額を立証できる状態にしておきます。
Q8会社更生と民事再生で給料の扱いは違いますか?
どちらも給料は共益債権として優先弁済されますが、根拠条文と手続が異なります。会社更生は130条、民事再生は民事再生法の共益債権規定によります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社が潰れたら、未払いの給料って結局戻ってこないんですよね?
会社更生手続では、開始前6月分の給料請求権は共益債権(130条1項)として扱われ、更生計画による減額の対象外で随時弁済されます。取引先の債権がカットされる横で、直近半年分は満額の優先列に並びます。実務のポイント:ただし共益債権でも会社に弁済原資がなければ実際の入金は遅れます。だから実務では賃確法の未払賃金立替払制度を同時に走らせ、機構からの立替えで当面の生活を支えるのが定石。共益債権の知識だけでは片手落ちで、二本立てで動ける人が早く手元に金を入れている
Q2退職金は全額守られると思っていいですか?
全額ではありません。認可決定前に退職した人の退職手当が共益債権になるのは、退職前6月分の給料総額か退職手当額の3分の1の、いずれか多い方まで(130条2項)。それを超える部分は減額され得る更生債権に落ちます。実務のポイント:開始後の労働に対応する退職手当が127条で既に共益債権とされる場合、本条2項は重ねて適用されません(130条4項)。自分の退職手当がどちらの枠で計算されるかで結論が変わるので、勤続年数と退職時期を管財人側の整理と突き合わせる必要がある
Q3破産と会社更生で、従業員の給料の扱いは違うんですか?
呼び名が違います。破産では給料は財団債権、会社更生では共益債権(130条)として扱われ、どちらも一般の債権に優先して弁済されます。ただし会社更生は会社を存続させて再建するのが原則なので、雇用そのものが続く可能性がある点が破産と大きく違います。実務のポイント:報道で「倒産」とひとくくりにされても、破産・民事再生・会社更生で従業員の立場は別物。会社更生のニュースなら、辞める前提で動くより、残って雇用と給料債権を守る選択肢を先に検討する方が合理的なケースが多い
Q4そもそも共益債権って、具体的に何がそんなに有利なんですか?
共益債権は、更生手続によらないで随時弁済され、更生債権や更生担保権に優先して支払われる債権です(128条)。更生計画の認可を待つ必要も、計画による削減を受けることもありません。実務のポイント:一般の更生債権者は計画認可まで何年も待たされ、しかも何割もカットされた額しか受け取れない。同じ会社にお金を貸していても、共益債権の列に並べるかどうかで回収のスピードと金額がまるで違う。130条は従業員をその有利な列に押し上げる条文だ
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば「会社が潰れたら給料は紙くず」かもしれない。だが法律から見れば、直近6月分の給料は共益債権として満額の優先弁済対象だ。この落差を知らずに「もう無理だ」と諦めて債権届出すらしない人が、一番損をする。
- 「退職手当も守られる」と知っている人でも、その守られる範囲が全額ではないことまでは知らない。認可決定前に退職した場合、共益債権になるのは退職前6月分の給料相当額か退職手当の3分の1の多い方まで。それを超える分は減額され得る更生債権に落ちる。半分守られて半分削られる、その内訳を理解している人は少ない。
- 「いつ辞めれば一番得か」と問う前に、その問いの立て方自体を疑うべきだ。会社更生は破産と違い、会社が存続して再建するのが原則。慌てて辞めるより、雇用を続けながら給料債権を共益債権として守る方が、結果的に手厚いケースは珍しくない。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる請求権 | 130条:使用人の給料・退職手当・身元保証金・預り金 | 127条:手続開始後の原因に基づく請求権等 128条:共益債権一般の弁済通則 |
| 保護の上限 | 給料は6月分、退職手当・預り金は6月分給料総額または3分の1の多い方 | 該当範囲で全額(開始後労働対応分の退職手当等) —(弁済方法を定める通則) |
| 弁済の方法 | 共益債権として128条により随時・優先弁済 | 共益債権として随時・優先弁済 更生手続によらず随時弁済、更生債権・更生担保権に優先 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は公司重整における重整債務の優先受償(公司法312条)と、積欠工資墊償基金(勞基法28条)の二本立てで労働者を保護する。日本の共益債権+賃確法立替払の構造に近い。
韓国は統合倒産法(債務者回生法)で従業員の給料・退職金を공익채권(共益債権)として優先弁済する。日本の会社更生法130条と機能的に対応する。
ドイツは未払給料を財団債務(Masseverbindlichkeit)として扱うほか、Insolvenzgeldにより直近3月分の賃金を保障する。共益債権+立替払の二重保護という発想は日本と共通する。
米国倒産法は申立前180日以内の賃金・退職金を一定額まで優先債権(priority claim)とする。会社更生法130条の母法系であり、6月という期間制限の発想にも通じる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、勤め先が更生手続開始決定を受け、来月分どころか先月分の給料まで止まったら? 直近6月分の給料請求権は130条1項により共益債権として満額守られ、更生計画で削られる更生債権とは完全に別枠で随時支払われる。
- 退職を考えているが、更生計画認可決定まであと数週間。認可決定の前に辞めれば、退職手当は退職前6月分の給料総額か退職手当額の3分の1のいずれか多い方まで共益債権(130条2項)。たった数週間の差で、優先弁済される金額が変わる。
- あなたが更生会社の管財人なら、再建原資は一円でも多く残したい。だが従業員の給料は共益債権として随時弁済する義務がある。この優先弁済をどう資金繰りに織り込むかが、再建計画が回るか破綻するかの分かれ目になる。
- 入社のとき身元保証金を預けたことすら忘れていた。会社が更生手続に入ったが、更生手続開始前の原因で生じた身元保証金の返還請求権も共益債権(130条1項)。記憶の隅に消えていた金が、優先的に戻ってくる。
- 給料の一部を社内預金として会社に預けていた。預り金の返還請求権も、6月分の給料総額か預り金額の3分の1の多い方まで共益債権だ(130条5項)。残りは減額され得る更生債権になる。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 給料・退職手当・身元保証金・預り金の各請求権を項目別に整理し、給与明細・雇用契約書・預け金の受領証で金額を立証できる状態にする2. 管財人に対し共益債権としての届出と随時弁済を請求、認可決定を待たずに動く3. 並行して賃確法の未払賃金立替払制度を労働者健康安全機構へ申請、回収ルートを二重化する4. 退職を検討中なら、認可決定前後で退職手当の扱いが変わるため、日付を決める前に管財人へ手続の見通しを確認する
訴えられた側:1. 会社・管財人側は共益債権の範囲(開始前6月分の給料、退職手当の6月分または3分の1基準、預り金の6月分または3分の1基準)を正確に算定し、随時弁済義務を資金繰り計画に組み込む2. 127条で既に共益債権とされる退職手当には本条2項3項を重ねて適用しない(130条4項)よう処理を分ける3. 過大な弁済請求が来たら、6月という期間と3分の1という上限基準に照らして範囲を精査し、共益債権部分と更生債権部分を切り分けて対応する
時効(請求できる期限):共益債権は更生手続中、随時弁済される。給料債権自体の消滅時効は労働基準法115条により、賃金請求権は5年(当分の間3年)、退職手当は5年で、起算点は各支払日(令和2年改正、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:130条は、倒産という最悪の局面で最も立場の弱い使用人の生活を保護するため給料等を共益債権に引き上げる一方、給料は6月分、退職手当・預り金は6月分相当額または3分の1という上限を設ける。これにより、労働者の生活保障の核心と更生会社の再建原資確保とを額の線引きで両立させていると解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年)会社更生法全部改正 昭和27年制定の旧会社更生法を全面的に作り直した新法(平成14年法律第154号)の制定により、使用人の給料・退職手当・身元保証金・預り金を共益債権とする本条の現行構造が整備された。退職手当・預り金の「6月分相当額または3分の1の多い方」という上限基準もこの新法で明文化された
改正の年表
- 1.昭和27年(1952年) 新設:旧会社更生法(昭和27年法律第172号)の制定。アメリカの会社更生型手続を継受し、再建型倒産手続における使用人保護の枠組みが導入された。
- 2.平成14年(2002年) 改正:会社更生法の全部改正(平成14年法律第154号)。使用人の給料・退職手当・身元保証金・預り金を共益債権とする現行130条の構造が整備され、退職手当・預り金の『6月分相当額または3分の1の多い方』という上限基準が明文化された。
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