会社更生法 第262条(否認の登記)
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- 登記の原因である行為が否認されたときは、管財人は、否認の登記を申請しなければならない。登記が否認されたときも、同様とする。
- 2.登記官は、前項の否認の登記に係る権利に関する登記をするときは、職権で、次に掲げる登記を抹消しなければならない。
- 一当該否認の登記
- 二否認された行為を登記原因とする登記又は否認された登記
- 三前号の登記に後れる登記があるときは、当該登記
- 3.前項に規定する場合において、否認された行為の後否認の登記がされるまでの間に、同項第二号に掲げる登記に係る権利を目的とする第三者の権利に関する登記(更生手続の関係において、その効力を主張することができるものに限る。第五項において同じ。)がされているときは、同項の規定にかかわらず、登記官は、職権で、当該否認の登記の抹消及び同号に掲げる登記に係る権利の更生会社への移転の登記をしなければならない。
- 4.裁判所書記官は、第一項の否認の登記がされている場合において、更生会社について、更生計画認可の決定が確定したときは、職権で、遅滞なく、当該否認の登記の抹消を嘱託しなければならない。
- 5.前項に規定する場合において、裁判所書記官から当該否認の登記の抹消の嘱託を受けたときは、登記官は、職権で、第二項第二号及び第三号に掲げる登記を抹消しなければならない。この場合において、否認された行為の後否認の登記がされるまでの間に、同項第二号に掲げる登記に係る権利を目的とする第三者の権利に関する登記がされているときは、登記官は、職権で、同項第二号及び第三号に掲げる登記の抹消に代えて、同項第二号に掲げる登記に係る権利の更生会社への移転の登記をしなければならない。
- 6.裁判所書記官は、第一項の否認の登記がされている場合において、更生会社について、第二百三十四条第二号若しくは第三号に掲げる事由が生じ、又は第二百三十六条若しくは第二百三十七条第一項の規定による更生手続廃止の決定が確定したときは、職権で、遅滞なく、当該否認の登記の抹消を嘱託しなければならない。
この条文の基本情報
否認の登記とは何ですか?
定義否認の登記とは、会社更生法第262条に定められた規定で、「登記の原因である行為が否認されたときは、管財人は、否認の登記を申請しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第262条(否認の登記)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第262条の条文原文は「登記の原因である行為が否認されたときは、管財人は、否認の登記を申請しなければならない。」で始まります。
- 会社更生法第262条は第十二章に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第262条の前の条は会社更生法第261条です。
- 会社更生法第262条の次の条は会社更生法第263条です。
- 会社更生法第262条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第262条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第262条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/262
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法262条は、否認された行為の登記を登記官が職権で抹消する手続を定める。ただし否認の登記より前に第三者の権利登記があれば、更生会社への移転登記となり権利は存続する。
Q · 倒産しかけた会社から買った不動産の登記、否認されたら勝手に消されるの?
原則として登記官が職権で抹消するが、登記のタイミング次第で存続する
会社更生法262条2項により、否認された行為の登記は登記官が職権で、つまり判決も同意もなしに抹消されます。ただし第3項により、否認された行為の後・否認の登記がされるまでの間に、あなたや第三者の権利登記(更生手続で効力を主張できるもの)が入っていれば、登記官は抹消ではなく更生会社への移転登記をして、あなたの権利を存続させます。権利が消えるか残るかは、否認の登記より前に登記が間に合ったかという一点で決まります。
解説
倒産しかけた会社から不動産を買った、あるいはその不動産に抵当権を設定してもらった。数か月後、その会社が会社更生手続に入り、管財人があなたとの取引を「詐害行為だ」「偏頗行為だ」として否認した。ここで何が起きるか。会社更生法262条は、否認された行為に基づく登記を、登記官が職権で抹消する仕組みを定めている。あなたの名義の登記が、判決も同意もなしに、あなたの知らないところで消されうるということだ。だが、この条文の本当の急所は第3項と第5項にある。否認された行為の後、否認の登記がされるまでの間に、あなたがその権利を目的とする登記(たとえば転抵当)を済ませていれば、登記官は全部を抹消せず、権利を更生会社へ移転する登記をして、あなたの権利を生き残らせる。つまり、あなたの権利が消えるか残るかは、登記を入れた「タイミング」一点で決まる。
法的な位置づけ
会社更生法262条は否認の登記に関する手続規定であり、否認された行為に基づく登記について、管財人の申請と登記官の職権による抹消、および第三者の権利を更生会社へ移転する登記の仕組みを定める。否認の登記より前に登記された第三者の権利は、抹消ではなく移転登記により存続する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.信用不安を察知したら権利取得後の登記を急ぐ 取引相手の経営悪化を感じたら、所有権移転や抵当権設定の登記を一刻も早く完了させる。否認の登記が入る前に登記が済んでいれば、第3項・第5項により更生会社への移転登記として権利が生き残る余地が生まれる
- 2.会社更生開始を知ったら登記事項証明書を取得 取引相手の会社更生手続開始を知ったら、対象不動産の登記事項証明書を取得し、否認の登記の有無、自分の権利の登記日・受付番号を確認する
- 3.否認の登記の前後と自分の権利順位を精査 自分の権利が否認の登記より前に登記され、かつ更生手続で効力を主張できるもの(第3項の救済対象)かを精査する。受付年月日と受付番号を突き合わせて、救済側か抹消側かを判定する
- 4.管財人・更生裁判所へ権利の存在を主張 救済対象に該当しそうなら、管財人や更生裁判所に自分の権利の存在を主張し、職権での更生会社への移転登記を求める。職権抹消が進む前に申し出ることが重要
- 5.倒産法・登記に詳しい専門家へ早期相談 詐害行為否認か偏頗行為否認かで争点が変わるため、否認の通知を受けたら速やかに倒産法と不動産登記に精通した弁護士・司法書士へ相談し、抗弁や権利保全の手を打つ
よくある質問 AI による整理
Q1否認の登記とは何ですか?
否認された行為に基づく登記が存在することを示す登記です。会社更生法262条1項により管財人が申請し、後に職権抹消や権利移転の起点となる仮の標識です。
Q2会社更生で買った不動産の登記は職権で消されますか?
否認されれば登記官が職権で抹消できます(262条2項)。ただし否認の登記より前に第三者の権利登記があれば、抹消ではなく更生会社への移転登記になります。
Q3否認の登記はいつ抹消されますか?
更生計画認可の決定が確定したとき、裁判所書記官が職権で遅滞なく抹消を嘱託します(262条4項)。更生手続が廃止された場合も同様です(6項)。
Q4否認の登記は誰が申請しますか?
管財人が申請します(262条1項)。登記の原因である行為が否認されたとき、または登記自体が否認されたときに、否認の登記を申請する義務を負います。
Q5後順位の登記も一緒に消えますか?
原則として、否認された登記に後れる登記も職権抹消の対象です(262条2項3号)。ただし救済対象の第三者の権利があれば移転登記で処理されます。
Q6転抵当を設定していた場合はどうなりますか?
否認の登記より前に転抵当などの第三者の権利登記が入っていれば、登記官は職権で更生会社への移転登記をし、その権利を存続させます(262条3項・5項)。
Q7更生手続が廃止されたら否認の登記はどうなりますか?
234条2号・3号の事由や更生手続廃止の決定が確定すると、裁判所書記官が職権で否認の登記の抹消を嘱託します(262条6項)。
Q8破産や民事再生にも同じ規定はありますか?
あります。破産法260条、民事再生法131条に対応する否認の登記の規定があり、職権抹消と第三者保護の構造はおおむね共通します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1倒産した会社から買った不動産の登記、勝手に消されることなんてあるんですか?
あります。会社更生法262条2項により、その売買が否認されると、登記官が職権で、つまり裁判の判決も持ち主の同意もなしに登記を抹消できます。ただし第3項で、否認の登記より前にあなたや第三者の権利登記が入っていれば、抹消ではなく更生会社への移転登記となり権利が残ります。実務のポイント:実務では否認の登記がいつ入ったかが全ての分水嶺。登記事項証明書の受付年月日・受付番号を突き合わせれば、自分が救済側か抹消側かは素人でも見当がつく。弁護士に相談する前に、まず登記の日付を確認するのが手順
Q2更生計画が認可されたら、否認の登記はそのまま残るんですか?
残りません。第4項により、更生計画認可の決定が確定すると、裁判所書記官が職権で遅滞なく否認の登記の抹消を嘱託します。そのうえで第5項に従い、否認された行為の登記や後れる登記が整理されます。実務のポイント:認可確定は登記が一気に動くタイミング。逆に更生手続が廃止された場合(第6項)も同様に否認の登記が抹消される。つまり否認の登記は『手続の決着がつくまでの仮の標識』であって最終形ではない。途中の登記簿だけ見て権利関係を判断すると足をすくわれる
間違えやすい点 AI による整理
- 「登記してあるのだから自分の権利は安全だ」という発想が、そもそもの問い違い。会社更生の否認では、登記官が職権で、つまりあなたの同意も判決も待たずに登記を抹消できる。問うべきは『登記したか』ではなく『否認の登記より前に登記が入ったか』だ
- 否認されると登記が消えること自体は知っていても、その消去が自動的に職権で行われ、しかも第三者の権利の有無で結論が分岐することまでは知られていない。第3項の存在を知らないと、本来生き残せた権利を取りこぼす
- あなたから見れば『正当に買った不動産』でも、更生手続から見れば『更生会社の財産を不当に流出させた行為の結果』。この落差を埋めるのが否認の登記であり、あなたの善意は、登記のタイミングという客観的事実の前では二次的な扱いになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 根拠条文 | 会社更生法262条(否認の登記) | 破産法260条(否認の登記) 民事再生法131条(否認の登記) |
| 手続の局面 | 会社更生手続(事業の維持・再建) | 破産手続(清算・配当) 民事再生手続(経営権を維持した再建) |
| 申請権者 | 管財人が否認の登記を申請 | 破産管財人が申請 再生債務者または管財人・監督委員が関与 |
| 第三者保護 | 否認の登記前の権利登記は更生会社へ移転登記で存続 | 否認の登記前の権利登記は破産者へ移転登記で存続 否認の登記前の権利登記は再生債務者へ移転登記で存続 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も倒産手続で否認權を認めるが、否認の効果を登記簿へ反映する独立した『否認の登記』の精緻な職権処理規定は日本ほど明文化されていない
韓国は会生・破産を統合した単一法典で否認権と否認の登記を規律し、職権抹消と第三者保護の構造は日本と類似する
ドイツは Insolvenzanfechtung により否認の効果を実体法上の返還義務として構成し、登記の処理は一般の登記法に委ねる点で日本と手法が異なる
米国はトラスティによる preference / fraudulent transfer の avoidance により財産を回復するが、登記の職権抹消という形式は採らず、裁判所命令と州登記実務に委ねる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、取引した会社が半年後に会社更生に入り、あなたへの不動産売却が否認されたら、あなたの所有権登記はどうなる? 原則として登記官が職権で抹消する。だが否認の登記がされる前にあなたから第三者へ転売や抵当設定の登記が入っていれば、結論は変わる
- あなたが更生会社から担保提供を受けた金融機関だったとする。その担保設定が偏頗行為として否認された瞬間、あなたの抵当権登記は職権抹消の対象になる。回収の前提が音もなく崩れる
- 更生計画認可の決定が確定するまで、否認の登記は仮の標識として残り続ける。認可が確定した瞬間、裁判所書記官が職権で否認の登記の抹消を嘱託し、関連登記が一気に整理される。その前に自分の権利の順位を確認しておかないと、何が消えるか把握できないまま処理が進む
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取引相手の会社更生開始を知ったら、すぐに対象不動産の登記事項証明書を取得し、否認の登記の有無と自分の権利の登記日・受付番号を確認2. 自分の権利が否認の登記より前に登記され、かつ更生手続で効力を主張できるものか精査(第3項・第5項の救済対象か) 3. 該当しそうなら管財人・更生裁判所に権利の存在を主張し、職権での移転登記を求める4. 倒産法と不動産登記に詳しい弁護士・司法書士へ早期相談、職権抹消が進む前に手を打つ
訴えられた側:1. 自分が更生会社から受けた行為(売買・担保設定など)が否認の対象かを確認、詐害行為否認か偏頗行為否認かで争点が変わる2. 否認権行使に対しては、相当の対価の存在・支払不能時期の不知などの抗弁を検討(会社更生法の否認規定) 3. 否認の登記が職権で入る前後で取りうる手が変わるため、否認の通知を受けたら速やかに弁護士へ4. 自分の登記が抹消されても、後順位や派生する第三者の権利の扱いを確認し、損失の波及範囲を把握
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。決定的なのはタイミング:第三者の権利が『否認された行為の後、否認の登記がされるまでの間』に登記されていれば救済される(第3項・第5項)。否認の登記は更生計画認可の決定が確定した時、裁判所書記官の職権嘱託で抹消される(第4項)
学説
通説:本条は否認権行使の効果を登記簿に反映するための手続規定であり、職権抹消の機械的処理によって生じうる第三者の犠牲を、否認の登記前に登記を備えた権利者については移転登記により温存することで調整する。善意悪意ではなく登記の時間的先後で線を引く点に特徴がある。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年) 現行会社更生法(平成14年法律第154号)の全部改正により、旧会社更生法(昭和27年)を全面的に作り直す中で現行条文として整備された。否認の登記の職権抹消と、第三者の権利を移転登記で温存する仕組み(第3項・第5項)を明確化。なお全部改正以降の本条の改正履歴は人的検証を要する
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:現行会社更生法(平成14年法律第154号)の全部改正により、旧会社更生法(昭和27年)を全面的に作り直す中で現行条文として整備。否認の登記の職権抹消と、第三者の権利を移転登記で温存する仕組み(3項・5項)を明確化。全部改正以降の本条の改正履歴は人的検証を要する。
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