会社更生法 第266条(詐欺更生罪)
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- 更生手続開始の前後を問わず、債権者、担保権者(株式会社の財産につき特別の先取特権、質権、抵当権又は商法若しくは会社法の規定による留置権を有する者をいう。以下この章において同じ。)又は株主を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、株式会社について更生手続開始の決定が確定したときは、十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第四号に掲げる行為の相手方となった者も、更生手続開始の決定が確定したときは、同様とする。
- 一株式会社の財産を隠匿し、又は損壊する行為
- 二株式会社の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為
- 三株式会社の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為
- 四株式会社の財産を債権者、担保権者若しくは株主の不利益に処分し、又は債権者、担保権者若しくは株主に不利益な債務を株式会社が負担する行為
- 2.前項に規定するもののほか、株式会社について更生手続開始の決定がされ、又は保全管理命令が発せられたことを認識しながら、債権者、担保権者又は株主を害する目的で、管財人の承諾その他の正当な理由がなく、その株式会社の財産を取得し、又は第三者に取得させた者も、同項と同様とする。
この条文の基本情報
詐欺更生罪とは何ですか?
定義詐欺更生罪とは、会社更生法第266条に定められた規定で、「更生手続開始の前後を問わず、債権者、担保権者(株式会社の財産につき特別の先取特権、質権、抵当権又は商法若しくは会社法の規定による留置権を有する者をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第266条(詐欺更生罪)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第266条の条文原文は「更生手続開始の前後を問わず、債権者、担保権者(株式会社の財産につき特別の先取特権、質権、抵当権又は商法若しくは会社法の規定による留置権を有する者をいう。」で始まります。
- 会社更生法第266条は第十三章に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第266条の前の条は会社更生法第265条です。
- 会社更生法第266条の次の条は会社更生法第267条です。
- 会社更生法第266条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第266条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第266条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/266
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法266条は、債権者等を害する目的で会社財産を隠匿・廉価処分する詐欺更生罪を定め、更生手続開始決定の確定時に十年以下の拘禁刑で処罰する。情を知った相手方も同罪となる。
Q · 倒産しそうだから、会社の資産を先に身内へ移しておくのはアリ?
ダメ。財産隠しは十年以下の拘禁刑の犯罪です
会社更生法266条により、債権者・担保権者・株主を害する目的で会社財産を隠匿・損壊・廉価処分等した経営者は、更生手続開始の決定が確定したときに十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金、又はその併科に処せられます。恐ろしいのは、手続開始の確定が処罰条件である点です。行為時には何も起きていなくても、後に手続開始が確定すれば過去の行為が遡って犯罪となります。さらに、情を知って不利益処分の相手方となった取引相手も同罪に問われます。
解説
会社の資金繰りが限界に近づいたとき、多くの経営者の頭をよぎる考えがある。倒産する前に、めぼしい資産を妻名義の会社へ移しておこう、と。この一手が、あなたを十年以下の拘禁刑が待つ被告人席に座らせる。会社更生法266条は、更生手続が始まる前であっても、債権者や担保権者や株主を害する目的で会社財産を隠したり、損壊したり、安値で身内へ売り飛ばしたりする行為を犯罪とする。恐ろしいのは、手続開始の決定が確定して初めて罪が成立する点だ。今は何も起きていなくても、後に更生手続が確定した瞬間、過去のあなたの行為が遡って犯罪になる。さらに、事情を知ってその資産を受け取った取引相手まで同じ刑に問われる。「助けるつもりで安く買った」では済まない。倒産は経営の失敗にすぎないが、財産隠しは前科のつく犯罪である。
法的な位置づけ
詐欺更生罪は、会社更生法266条が定める倒産犯罪であり、更生手続開始の前後を問わず、債権者・担保権者・株主を害する目的で会社財産を隠匿・損壊し、譲渡を仮装し、又は不利益に処分する行為を、更生手続開始決定の確定を処罰条件として罰する規定をいう。情を知った相手方も同様に処罰される。
よくある質問 AI による整理
Q1詐欺更生罪とは何ですか?
会社更生法266条が定める倒産犯罪です。債権者等を害する目的で会社財産を隠匿・損壊・廉価処分し、更生手続開始決定が確定すると十年以下の拘禁刑に処されます。
Q2詐欺更生罪の時効は何年ですか?
公訴時効は7年です(十年以下の拘禁刑にあたる罪、刑訴250条2項)。ただし手続開始決定の確定が処罰条件のため、起算点は解釈が分かれ、長期間後の立件もありえます。
Q3詐欺更生罪と詐欺破産罪の違いは何ですか?
詐欺更生罪は会社更生手続(266条)、詐欺破産罪は破産手続(破産法265条)で成立します。対象や処罰条件となる手続は異なりますが、法定刑はいずれも十年以下の拘禁刑です。
Q4倒産前の資産売却はいつから違法になりますか?
行為時点では未確定でも、後に更生手続開始決定が確定すると遡って犯罪となります。害する目的のない正常な事業上の売却は対象外です。
Q5詐欺更生罪の刑罰はどのくらい重いですか?
十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金、又はその併科です。2022年改正で懲役・禁錮が拘禁刑へ統合され、2025年6月1日に施行されました。
Q6管財人の承諾があれば財産を取得できますか?
できます。管財人の承諾その他の正当な理由があれば266条2項は成立しません。承諾は口頭でなく書面やメールで証拠化するのが鉄則です。
Q7否認権と詐欺更生罪は何が違いますか?
否認権(会社更生法86条以下)は財産を取り戻す民事手段、詐欺更生罪は行為者を罰する刑事制裁です。別レールで進むため刑事無罪でも財産は否認されえます。
Q8詐欺更生罪は会社更生法だけの犯罪ですか?
いいえ。破産手続には詐欺破産罪(破産法265条)、再生手続には詐欺再生罪(民事再生法255条)という並行規定があり、手続ごとに対応する倒産犯罪が定められています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取引先が倒産しそうとは知っていたけど、普通に安く買っただけでも罪になるんですか?
単に安く買っただけでは足りません。266条1項後段が処罰するのは、情を知って、つまり債権者等を害する処分だと認識して相手方になった場合です。通常の値引き交渉と、害意を共有した安値取得は別物。ただし相場から極端に外れた価格は害意を推認させます。実務のポイント:弁護士は倒産間際の企業との取引で必ず取得価格の相当性を記録に残させます。後で正常な取引だったと立証する唯一の盾が、その時点の鑑定書や相見積もりだからです
Q2刑事で無罪になれば、移した財産はそのまま持っていられますか?
持っていられません。詐欺更生罪(刑事)と管財人の否認権(会社更生法86条以下、民事)は完全に別レールです。刑事で害する目的が立証できず無罪でも、否認権の要件を満たせば財産は更生会社へ取り戻されます。実務のポイント:実務では刑事告発より否認権の方が要件のハードルが低く、回収目的なら管財人はまず否認権で動きます。刑事告発は見せしめや交渉カードとして使われることが多い
Q3もう更生手続を申し立てた後だと、財産は一切動かせないんですか?
動かせないわけではなく、管財人の承諾その他の正当な理由があれば適法です(266条2項の裏返し)。問題は無断で、かつ害する目的で動かす場合です。事業継続に必要な取引なら、管財人の承諾を得て進めれば犯罪になりません。実務のポイント:保全管理命令が出た後の財産取得は、承諾を口頭で得たつもりでも危険。管財人の承諾は必ず書面かメールで証拠化するのが鉄則です
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社の倒産が経営者個人の刑事責任になることはない」と思われているが、財産隠しが絡んだ瞬間に話は別。経営判断の失敗は罪ではないが、債権者を害する目的の財産処分は十年以下の拘禁刑がつく独立した犯罪である
- 「手続がまだ始まっていないのだから、今動かせばセーフ」という問いの立て方そのものが誤り。266条は更生手続開始の前後を問わずと明記している。タイミングではなく、後に手続開始が確定するかどうかで遡って成否が決まる
- 詐欺更生罪を「財産を完全に隠す悪質なケースだけ」と軽く見ている人が多いが、条文は価格を減損する行為や不利益な債務を負担する行為まで含む。身内に相場より高い顧問料を払う、無担保で金を貸す、それだけで構成要件に触れうる深さがある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 成立する手続 | 更生手続(会社更生法266条・詐欺更生罪) | 破産手続(破産法265条・詐欺破産罪) 再生手続(民事再生法255条・詐欺再生罪) |
| 処罰条件 | 更生手続開始の決定の確定 | 破産手続開始の決定の確定 再生手続開始の決定の確定 |
| 法定刑 | 十年以下の拘禁刑・千万円以下の罰金(併科可) | 十年以下の拘禁刑・千万円以下の罰金(併科可) 五年以下の拘禁刑・五百万円以下の罰金(併科可) |
| 主な対象主体 | 株式会社(更生対象) | 個人・法人(破産者) 個人・法人(再生債務者) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は倒産犯罪を破產法に集約し、債権者を害する目的の財産隠匿・廉価処分を処罰する。会社更生に相当する重整は公司法が規律する点で枠組みが異なる
韓国は回生・破産を統合法典で規律し、債権者を害する財産隠匿等を処罰。手続開始決定を要件とする構造は日本と類似する
ドイツは破産犯罪を刑法典に置き、危機状態における財産の隠匿・廉価処分を処罰。会社更生固有の犯罪類型ではなく一般的な倒産犯罪として規律する
米国は連邦破産法上の財産隠匿・虚偽申告を連邦犯罪として処罰。Chapter 11の再建手続にも適用され、会社更生の母法を持つ国らしく手続横断的に機能する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 工場の機械や売掛金を、倒産前に親しい同業者へ帳簿価格の半額で売却した。あなたとしては従業員の退職金を捻出するつもりだった。だが更生手続開始が確定すれば、この財産の不利益処分は266条1項4号に直撃する。善意のつもりでも、債権者を害する結果が出れば目的を推認される
- もし取引先の社長から「うちもう危ないから、この在庫を格安で引き取ってくれ」と頼まれたら、あなたはどうする。事情を知って買えば、あなた自身が266条1項後段の相手方類型として十年以下の拘禁刑の対象になる
- 保全管理命令が出た会社との売買契約が、決済まであと三日。管財人の承諾をまだ取っていない。ここで決済を強行して財産を取得すれば、266条2項が成立しうる。承諾の一通が、あなたを犯罪者にするかどうかの分かれ目だ
- 回収できるはずの債権が、気づけば相手企業の資産ごと消えていた。資産は社長の親族会社へ移っていた。これは否認権の対象であると同時に、詐欺更生罪の端緒でもある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 疑わしい資産移動を発見したら、登記簿・帳簿・取引記録の謄本やスクショを確保し時系列で整理する2. 更生手続中なら管財人へ通報し、否認権(会社更生法86条以下)の行使を促す3. 並行して、債権者を害する目的が読み取れる証拠を添えて捜査機関への刑事告発を検討する4. 刑事と民事は別レールなので、回収(否認権)と処罰(詐欺更生罪)を同時に走らせる
訴えられた側:1. まず債権者等を害する目的が本当にあったかを冷静に検証する。正当な事業目的(従業員給与、正常な取引)なら目的の不存在を主張できる2. 取得側なら管財人の承諾や正当な理由の有無を確認し、書面があれば最優先で提出する3. 価格の相当性を示す鑑定書・相見積もりを集め、不利益処分ではないと反証する4. 手続開始の確定が処罰条件なので、確定前の段階なら弁護士と回復措置(資産の返還等)を検討し情状を整える
時効(請求できる期限):公訴時効は7年(十年以下の拘禁刑にあたる罪、刑事訴訟法250条2項)。起算は犯罪行為の終了時が原則だが、本罪は更生手続開始の決定の確定が処罰条件であるため、時効の進行起算点は実務上、解釈が分かれている。確定を待つ性質上、長期間後に立件される可能性がある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:266条は債権者等の財産的利益の公正な保全を保護法益とし、害する目的という主観的要件によって通常の取引と犯罪行為を区別する。更生手続開始決定の確定は客観的処罰条件であり、行為の違法性そのものは行為時に既に備わると解するのが一般的である。
実務:刑事の詐欺更生罪と民事の否認権は別レールで進行し、否認権の方が要件のハードルが低い。回収を目的とする管財人はまず否認権で動き、刑事告発は悪質事案での処罰や交渉手段として位置づけられる傾向がある。
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 懲役と禁錮を拘禁刑へ統合する刑事法改正に伴い、法定刑を十年以下の拘禁刑へ変更。改善更生のための処遇を柔軟化した
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:会社更生法の全部改正(法律第154号)。旧法の罰則を整理し、詐欺更生罪を現行266条として再編。1項各号の行為類型と2項の財産取得罪を明文化した
- 2.令和4年(2022年) 改正:懲役・禁錮を拘禁刑へ統合する刑事法改正に伴い、法定刑を「十年以下の拘禁刑」へ変更。令和7年(2025年)6月1日施行
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