会社更生法 第268条(管財人等の特別背任罪)
クイックジャンプ
- 管財人、管財人代理、保全管理人、保全管理人代理、監督委員又は調査委員が、自己若しくは第三者の利益を図り又は債権者、担保権者若しくは株主に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、債権者、担保権者又は株主に財産上の損害を加えたときは、十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 2.管財人、保全管理人、監督委員又は調査委員(以下この項において「管財人等」という。)が法人であるときは、前項の規定は、管財人等の職務を行う役員又は職員に適用する。
この条文の基本情報
管財人等の特別背任罪とは何ですか?
定義管財人等の特別背任罪とは、会社更生法第268条に定められた規定で、「管財人、管財人代理、保全管理人、保全管理人代理、監督委員又は調査委員が、自己若しくは第三者の利益を図り又は債権者、担保権者若しくは株主に損害を加える目的で、その…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第268条(管財人等の特別背任罪)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第268条の条文原文は「管財人、管財人代理、保全管理人、保全管理人代理、監督委員又は調査委員が、自己若しくは第三者の利益を図り又は債権者、担保権者若しくは株主に損害を加える目的で、その…」で始まります。
- 会社更生法第268条は第十三章に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第268条の前の条は会社更生法第267条です。
- 会社更生法第268条の次の条は会社更生法第269条です。
- 会社更生法第268条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第268条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第268条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/268
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法268条は、管財人や監督委員らが図利加害目的で任務に背き財産上の損害を与えた場合に、10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金を科す特別背任罪を定める。
Q · 会社が更生手続に入ったあと、管財人が不正をしたら罰せられるの?
管財人らの裏切りを罰する特別背任罪で、最高10年の拘禁刑です
会社更生法268条により、管財人・管財人代理・保全管理人・保全管理人代理・監督委員・調査委員が、自己もしくは第三者の利益を図る目的、または債権者・担保権者・株主に損害を加える目的で任務に背き、実際に財産上の損害を生じさせた場合、10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金、あるいはその併科が科されます。一般の背任罪(刑法247条、5年以下)の倍の重さです。管財人等が弁護士法人などの法人である場合は、2項により実際に職務を行った役員・職員個人が処罰されます。
解説
取引先が会社更生手続に入り、あなたの売掛金の運命は、裁判所が選んだ管財人ひとりの手に委ねられた。その管財人が、特定のスポンサーに会社の優良資産をこっそり安値で流したら、損をするのは誰か。あなただ。会社更生法268条は、管財人や保全管理人、監督委員、調査委員が、自己または第三者の利益を図る目的、もしくは債権者・担保権者・株主に損害を与える目的で任務に背き、実際に財産上の損害を生じさせたとき、10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金、あるいはその併科を科す。普通の背任罪(刑法247条、5年以下)の倍の重さだ。なぜここまで重いのか。管財人は倒産した会社の財産と事業のすべてを握り、裁判所の監督下とはいえ事実上の絶対権力を持つ。その権力を裏切りに使えば、何百人もの債権者と株主が一斉に損をする。2項では管財人等が法人(弁護士法人など)の場合、実際に職務を行った役員・職員個人が処罰される。組織の看板の裏に隠れることは許されない。
法的な位置づけ
会社更生法268条は、会社更生手続における管財人等の特別背任罪を定める規定である。管財人・管財人代理・保全管理人・保全管理人代理・監督委員・調査委員が、図利加害の目的で任務に背き、債権者・担保権者または株主に財産上の損害を加える行為を処罰対象とし、刑法247条の背任罪に対する加重類型として位置づけられる。
よくある質問 AI による整理
Q1特別背任罪とは何ですか?
特定の地位にある者の背任行為を一般の背任罪より重く処罰する加重類型です。会社更生法268条では管財人等が対象で、刑法247条の倍にあたる10年以下の拘禁刑が科されます。
Q2会社更生法268条の刑罰はどれくらい重いですか?
10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金、あるいはその併科です。普通の背任罪(5年以下)の倍の重さで、管財人の権力の大きさを反映した法定刑です。
Q3特別背任罪の時効は何年ですか?
公訴時効は7年です(刑事訴訟法250条2項4号)。起算点は背任行為が終わり財産上の損害が発生した時で、更生手続は長期に及ぶため行為時と発覚時が大きくずれる点に注意が必要です。
Q4図利加害目的とはどういう意味ですか?
自己もしくは第三者の利益を図る目的、または本人に損害を加える目的のことです。特別背任罪の主観的要件で、これがなければ任務違背があっても犯罪は成立しません。
Q5管財人の不正はどこに通報すればいいですか?
まず管財人を選任した更生裁判所へ事実を上申するのが効果的です。裁判所には監督・解任権限があり、刑事手続が動く前に資産流出を止められます。並行して刑事告発も検討します。
Q6会社更生法の特別背任罪は誰が対象になりますか?
管財人・管財人代理・保全管理人・保全管理人代理・監督委員・調査委員です。管財人等が法人の場合は、2項により実際に職務を行った役員・職員個人が処罰されます。
Q7特別背任罪と業務上横領罪はどちらが重いですか?
会社更生法268条の特別背任は10年以下、業務上横領罪(刑法253条)も10年以下で法定刑は同水準です。ただし成立要件が異なり、領得があれば横領、任務違背で損害を与えれば背任となります。
Q8会社更生の管財人を解任することはできますか?
できます。管財人を選任した更生裁判所には監督・解任の権限があり、利害関係人は不正や任務違背を理由に解任を求める事実を上申できます。刑事より先に動かせる実務的な手段です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1管財人がやらかしたって、結局会社が潰れてるんだから取り返せないですよね?
刑事罰と財産回収は別物です。268条で管財人が有罪になっても配当は自動で増えませんが、管財人個人への損害賠償請求(民法709条等)で穴を埋める道が残ります。実務のポイント:管財人の多くは弁護士で、弁護士賠償責任保険に入っています。本人に資力がなくても保険から回収できる可能性があるため、『相手が無資力』と諦める前に、責任主体が個人か法人か、保険の有無を確認するのが実務の定石です
Q2横領と背任って何が違うんですか? どっちで攻めればいいの?
横領(業務上横領罪)は財産を自分のものにする領得行為、268条の特別背任は任務に背いて損害を与える行為で、自分の懐に入れていなくても成立します。管財人が第三者を不当に有利に扱った類型は背任で攻めるのが筋です(刑法247条の加重類型)。実務のポイント:検察は立証しやすい方を選びます。領得の証拠が薄いと横領では不起訴になりがちですが、任務違背と損害が明確なら背任で立件できる。告発時にどちらの構成で書くかで、捜査が動くかどうかが変わります
Q3監督委員や調査委員まで対象って書いてますが、ただのチェック役でも罪になるんですか?
なります。268条は管財人だけでなく監督委員・調査委員も明示的に対象としています。彼らが図利加害目的で職責に背き、債権認否や調査結果を歪めて損害を生じさせれば同じ刑です。実務のポイント:チェック役は『自分は実行者ではない』と油断しがちですが、認否の判断ひとつが全債権者の配当を左右します。立場が地味なほど監視が緩く、不正が露見しにくい。だからこそ立法者は監督・調査の担い手をあえて条文に並べました
間違えやすい点 AI による整理
- 「管財人は裁判所が選んだプロだから不正などしない」と思い込みがちだが、268条がわざわざ存在する事実こそ、立法者が『絶対権力には濫用がつきまとう』と認めている証拠だ。問題は不正の有無ではなく、それを見張る目があなた自身にあるかどうかである
- 背任罪は『お金を横領すること』だと誤解されやすいが、268条の核心は領得ではなく『任務違背による損害』だ。一円も自分の懐に入れていなくても、特定の第三者を有利に扱って会社財産に穴を開ければ成立する。横領(業務上横領罪)とは構成要件が別物で、追及の筋道も違う
- 「会社が潰れたんだから、もう誰に何を言っても無駄」とあなたは諦めているかもしれない。だが法律から見れば、更生手続中の会社財産はまだ生きており、管財人による棄損は刑事罰の対象だ。あなたが『終わった話』と思っている間に、追及の時効だけが静かに進む。この認識の落差が回収機会を奪う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用される地位 | 会社更生法268条:管財人・監督委員・調査委員等 | 刑法247条:他人の事務を処理する者一般 会社法960条:取締役・監査役等の会社役員 |
| 法定刑 | 10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金(併科可) | 5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金(併科可) |
| 保護される対象 | 更生会社の財産=債権者・担保権者・株主への公平な配当 | 事務処理を委ねた本人の財産 会社の財産=株主・債権者の利益 |
| 法人受任時の処罰 | 2項:実際に職務を行った役員・職員個人を処罰 | 規定なし(自然人のみ) 規定なし(役員個人が直接主体) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は背任を一般刑法の背信罪で処理し、会社更生に相当する公司重整の重整人の責任は公司法に分散する。日本のような倒産手続専用の加重背任の単一条文は持たない。
韓国は倒産手続を統合した同法の罰則章に管理人等の特別背任を置く。倒産処理機関の濫用を重く罰する構造は日本と類似する。
ドイツは管財人(Insolvenzverwalter)の背任も一般の Untreue(背任)で処理し、民事責任は InsO § 60が定める。日本のような倒産専用の加重類型は設けない。
米国は連邦倒産犯罪として、トラスティ等による倒産財団からの横領を独立の罪としており、背任ではなく横領類型で構成する点が日本と異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 更生会社の最大の債権者になったあなた。管財人がスポンサー選定で、最高額を提示した候補ではなく、自分と顧問契約のある会社を選び、資産を相場より三割安く売却した。配当原資はその分だけ痩せる。これは268条の図利加害行為そのものであり、刑事告発と並行して、選任した裁判所への解任申立て(更生法78条系)という手も同時に動かせる
- もし監督委員が、特定の取引先の更生債権だけをこっそり過大に認め、見返りを受けていたとしたら? 損害は他の全債権者の配当減として現れる。背任の損害は『誰か一人』ではなく『分配の歪み』として全員に薄く広く降りかかる、その構造を見抜けるかどうかで告発の組み立てが変わる
- あなたが管財人代理を引き受けた弁護士だとする。良かれと思って旧経営陣に運転資金を融通したが、その判断が『第三者の利益を図る目的』と疑われた。任務違背と図利加害目的、この二つが揃わなければ268条は成立しない。目的の不存在を立証できれば、結果が悪くても犯罪は成立しない
- 更生手続が大詰め、配当まであと一歩。ここで管財人の不正が発覚すれば手続全体が揺らぐ。証拠保全と告発のタイミングを誤れば、資産は既に流出し回収不能。動けるのは今夜から数日だ
- 株主として、更生会社の残余価値に望みをつないでいたあなた。管財人が会社の知的財産を関連会社へ無償譲渡した。株主も268条が明示する保護対象であり、株主としての損害を理由に刑事責任を問える数少ない条文のひとつだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 不審な資産処分や債権認否の偏りを察知したら、まず取引経緯・相見積り・相場資料を時系列で確保する。損害発生直後の証拠が分水嶺2. 刑事告発の前に、選任した更生裁判所へ事実を上申し、管財人の監督・解任権限を動かして資産流出を止める3. 並行して管財人個人への損害賠償(民法709条、会社更生法上の管財人の責任)を検討、刑事と民事は別軌道で動かせる4. 損害が分配の歪みとして全債権者に及ぶ場合、債権者集会や他の債権者と連携し、追及の重みを増す
訴えられた側:1. 268条は『任務違背』と『図利加害目的』の双方が揃って初めて成立する。結果が悪くても、誠実な裁量判断であった経緯を示せば目的の不存在で争える2. 判断の合理性を裏づける記録(相見積り、専門家意見、裁判所への報告)を整理し、善管注意義務の範囲内であったことを立証3. 法人として受任した場合(2項)、職務分掌と決裁経緯を明確にし、誰の判断だったかを正確に切り分ける4. 早期に倒産・刑事の双方に通じた弁護人を選任、捜査前の段階から方針を固める
時効(請求できる期限):公訴時効は7年(刑事訴訟法250条2項4号、長期15年未満の拘禁刑にあたる罪)。起算点は背任行為が終わり財産上の損害が発生した時(刑事訴訟法253条)。会社更生手続は長期にわたるため、行為時と発覚時が大きくずれることがある点に注意(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:特別背任罪の保護法益は更生会社の財産であり、ひいては債権者・担保権者・株主への公平な配当である。領得を要件とせず、任務違背による損害発生で足りる点が横領罪と区別される。
経営判断原則(学説・実務):管財人の裁量的判断が結果的に損害を生んでも、合理的な情報収集と判断過程を経ていれば任務違背・図利加害目的を欠き、特別背任は成立しないとする考え方。結果の悪さだけで罪は問えない。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年)全部改正 会社更生法が旧法(昭和27年法)から全面改正され現行法(平成14年法律第154号)として成立。罰則章に管財人等の特別背任罪を整備し、保全管理人・監督委員・調査委員や法人受任時の役職員(2項)まで処罰対象を明確化した
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法等の一括改正に伴い、法定刑の「懲役」を「拘禁刑」に改めた。10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金という刑の重さ自体は維持
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:会社更生法が旧法(昭和27年法)から全部改正され現行法(平成14年法律第154号)として成立。罰則章に管財人等の特別背任罪を整備し、保全管理人・監督委員・調査委員や法人受任時の役職員(2項)まで処罰対象を明確化した。
- 2.令和4年(2022年) 改正:刑法等の一括改正に伴い法定刑の『懲役』を『拘禁刑』に改めた。10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金という刑の重さ自体は維持(施行は令和7年6月1日)。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める