会社更生法 第40条(更生手続開始前の役員等の財産に対する保全処分)
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- 裁判所は、更生手続開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間においても、緊急の必要があると認めるときは、開始前会社(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより又は職権で、第九十九条第一項各号に掲げる保全処分をすることができる。
- 2.第九十九条第二項から第五項までの規定は、前項の規定による保全処分があった場合について準用する。
この条文の基本情報
更生手続開始前の役員等の財産に対する保全処分とは何ですか?
定義更生手続開始前の役員等の財産に対する保全処分とは、会社更生法第40条に定められた規定で、「裁判所は、更生手続開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間においても、緊急の必要があると認めるときは、開始前会社(保全管理人が選任されて…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第40条(更生手続開始前の役員等の財産に対する保全処分)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第40条の条文原文は「裁判所は、更生手続開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間においても、緊急の必要があると認めるときは、開始前会社(保全管理人が選任されて…」で始まります。
- 会社更生法第40条は第五款に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第40条の前の条は会社更生法第39条の2です。
- 会社更生法第40条の次の条は会社更生法第41条です。
- 会社更生法第40条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第40条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第40条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/40
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法40条は、更生手続開始の申立てから開始決定までの間に、緊急の必要があれば、裁判所が職権または申立てにより役員等の財産へ保全処分をかけられると定める規定である。
Q · 取引先が会社更生を申し立てた。役員に責任があると思うけど、手続が正式に始まるまで何もできないの?
待つ必要はなく、開始決定前でも緊急なら役員財産を凍結できる
会社更生法40条により、更生手続開始の申立てから開始決定までの空白期間でも、緊急の必要があれば、開始前会社または保全管理人の申立て、もしくは裁判所の職権で、99条1項所定の役員等の財産に対する保全処分(仮差押え・仮処分)を前倒しで発令できます。債権者に直接の申立権はありませんが、財産散逸の兆候を保全管理人や裁判所に届けて職権発動を促すことは可能です。この初動で財産を確保できるかが、後の100条の責任査定の実効性を左右します。
解説
会社更生の申立てがされてから、裁判所がそれを認めるか決めるまで、数週間から数か月の空白が生じる。この空白こそ、危機を招いた役員にとって最後の逃げ道になる。会社の金を流用してきた取締役が、自宅やゴルフ会員権を家族名義に移す、預金を引き出す、そうした財産隠しを始めるのがまさにこの期間だ。40条は、その空白を裁判所が職権で、あるいは申立てによって埋める仕組みである。99条が定める役員の財産への保全処分(仮差押え、仮処分)を、手続開始の決定を待たずに、緊急の必要があれば前倒しで打てる。あなたが会社の債権者や従業員なら、この一条の存在を知っているかどうかで、後の回収可能性がまるで違ってくる。役員の財産が散逸してからでは、いくら責任査定で勝っても、差し押さえる先が残っていない。
法的な位置づけ
会社更生法40条は、更生手続開始の申立てがあった時から開始決定があるまでの間における役員等の財産の保全処分を定める規定である。緊急の必要が認められる場合に、開始前会社または保全管理人の申立て、もしくは裁判所の職権により、99条1項所定の仮差押え等の保全処分を発令することを可能にし、99条2項から5項の規定が準用される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.役員財産の散逸の兆候を早期に把握する 取引先が更生を申し立てたとの情報をつかんだら、対象役員の不動産の名義変更、預金移動、有価証券・会員権の売却、海外送金などの兆候を確認し、客観的資料として記録する
- 2.保全管理人または申立代理人へ情報を届ける 債権者には直接の申立権がないため、握った財産散逸の証拠を開始前会社の申立代理人または保全管理人へ早期に提供し、職権発動または申立てを促す
- 3.更生申立てと同時に40条の保全処分を申し立てる 申立人側は更生手続開始の申立てと同時に、40条に基づき役員等の財産に対する保全処分を申し立て、緊急の必要性を疎明する。対象財産(不動産・預金・有価証券・会員権)を特定し、仮差押え・仮処分の範囲を定める
- 4.開始決定後は99条本体へ切り替え、100条で責任を確定 開始決定後は99条本体の保全処分に移行し、管財人が100条の責任査定を申し立てて賠償額を確定する。確定後は保全した財産から回収する
よくある質問 AI による整理
Q1会社更生法40条とは何ですか?
更生手続開始の申立てから開始決定までの空白期間に、緊急の必要があれば、職権または申立てで役員等の財産に保全処分(仮差押え等)を前倒しで発令できると定める規定です。
Q2役員の財産保全はいつから可能ですか?
更生手続開始の申立てがあった時点から可能です。開始決定を待つ必要はなく、40条が空白期間の保全を認めています。緊急の必要性の疎明が前提になります。
Q3保全管理人とは何ですか?
更生手続開始前に裁判所が選任し、会社の財産管理を担う者です。選任されている場合、40条の保全処分の申立権者は保全管理人になります。
Q4会社更生法99条と100条の違いは?
99条は役員等の財産に対する保全処分の内容を定め、100条はその役員等の損害賠償責任を査定する裁判を定めます。40条は99条を開始決定前に前倒しする規定です。
Q5役員の責任査定とはどんな制度ですか?
会社更生法100条に基づき、管財人の申立てで裁判所が役員等の任務懈怠による賠償責任を簡易迅速に確定する制度です。確定額は給付判決と同一の効力を持ちます。
Q6更生手続の申立てから開始決定までどれくらいかかりますか?
事案により数週間から数か月の幅があります。この空白こそ財産散逸の危険が高く、40条の保全処分が意味を持つ時間帯です。
Q7役員財産の保全処分に即時抗告はできますか?
できます。40条2項により99条5項が準用され、保全処分の決定に対して即時抗告で争う余地があります。動ける期間は限られます。
Q8民事再生と会社更生で役員財産の保全は違いますか?
枠組みは並行します。会社更生は40条・99条、民事再生は民事再生法142条が役員財産の保全処分を定めます。手続の重さや管理機関の構成が異なります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取引先が会社更生を申し立てた。役員に責任があると思うけど、手続が終わるまで待つしかないんですか?
待つ必要はない。会社更生法40条により、手続開始の決定を待たず、緊急の必要があれば役員の財産に保全処分(99条の仮差押え等)をかけられる。申立権者は開始前会社または保全管理人で、債権者が直接申し立てることはできないが、職権発動を促すことは可能だ。実務のポイント:実務では、申立代理人が更生申立てと同時にこの保全処分も申し立てるのが定石。役員の財産がまだ動いていない初動の数日が勝負で、ここを逃すと責任査定で勝っても回収先が消える
Q2名ばかりの社外取締役なんですが、私の個人財産まで凍結されることはありますか?
可能性はある。40条、99条の保全処分は『役員等』が対象で、名目的な取締役でも任務懈怠責任(会社法423条)を問われうる立場なら除外されない。ただし保全には役員に責任があると見込まれる相当の理由が前提で、関与の度合いは争える。実務のポイント:社外や名目だけの取締役でも、取締役会で違法行為を見逃した監視義務違反を問われた裁判例は多い。『名前を貸しただけ』が通らないことは多く、就任の時点でこのリスクを意識すべきだ
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社が更生手続に入れば、役員の財産も自動的に保全される」と思い込んでいる人が多い。実際は、申立てから開始決定までの空白では何も自動では起きない。誰かが40条を使って申立てるか、裁判所が職権を発動しなければ、財産は逃げていく。守りは自動装置ではなく、引き金を引く者を必要とする
- 「役員の責任追及は、手続が落ち着いてからゆっくりやればいい」と知識としては持っていても、その悠長さの代償の深刻さを分かっていない。100条の責任査定でいくら高額の賠償額を確定させても、その時点で役員の財産がゼロなら、勝訴の価値は実質ゼロになる。査定の勝敗より先に、財産が残っているかが決まっている
- 「自分は名前を貸しただけの名目取締役だから、財産凍結なんて関係ない」という前提の立て方そのものが危うい。40条と99条の対象は『役員等』であり、関与が薄くても任務懈怠責任(会社法423条)を問われうる立場なら、保全処分の射程から外れる保証はない。問うべきは『自分は関係あるか』ではなく『自分の関与度をどう立証するか』だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発令できる時期 | 40条:開始決定前の空白期間(申立て時〜開始決定) | 99条:原則として開始決定後 100条:開始後の責任査定段階 |
| 機能 | 緊急の保全処分を前倒しで発令 | 役員等財産への保全処分の内容を定める 役員等の損害賠償責任を確定する査定裁判 |
| 申立権者・発動 | 開始前会社・保全管理人の申立て、または職権 | 管財人の申立て、または職権 管財人の申立て |
| 前提要件 | 緊急の必要があること | 役員等に責任があると見込まれる相当の理由 任務懈怠による損害の発生 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も会社重整の裁定前に、裁判所が職権または申立てにより役員財産を含む保全処分を命じることができ、開始前の財産確保という機能が日本40条と並行する
韓国は統合倒産法で、回生手続における役員等の財産に対する保全処分を定める。再建型手続で役員責任に備えた財産確保を行う点で日本と類似
ドイツは倒産手続開始前の暫定的保全措置(vorläufige Sicherungsmaßnahmen)を裁判所の権限として広く定め、開始前の財産散逸防止を図る
米国は包括的差止権限や予備的差止(TRO・preliminary injunction)により、再建手続の実効性確保のための暫定措置を講じる。会社更生法の母法的位置にある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先の大企業が会社更生を申し立てたとの一報が入った。あなたの会社は多額の売掛金を抱えている。経営を傾けた役員に責任があるはずだと感じても、手続が正式に始まるのを待っていると、その間に役員は自宅も預金も家族名義に移してしまう。申立て直後に40条の保全処分が動くかどうかで、後の回収が紙の上の数字で終わるか実際の入金になるかが分かれる
- あなたが申立て会社の役員だとして、ある朝、自宅不動産と証券口座に仮差押えの決定通知が届く。まだ更生手続が始まるとも決まっていない段階だ。なぜ自分の財産が、と思うかもしれないが、緊急の必要が認められれば開始決定前でも凍結される。即時抗告で争う余地はあるが、動ける時間は限られている
- もし、長年の粉飾で会社を空洞化させた経営者が、申立ての直後に資産を海外送金し始めたら、債権者はただ見ているしかないのか? そうではない。保全管理人が選任されていれば、その申立てで、選任されていなければ裁判所の職権で、財産の流出を止められる
- あと数日で役員の自宅売却の決済が完了する。そうなれば責任査定で勝っても回収不能だ。この時間圧の中で唯一間に合うのが、開始決定を待たずに発令できる40条の保全処分である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 役員の財産散逸の兆候(不動産の名義変更、預金移動、有価証券の売却)を察知したら、更生申立代理人または保全管理人にすぐ情報を渡す2. 申立人側は更生手続開始の申立てと同時に、40条に基づく役員財産の保全処分を申し立て、緊急の必要性を疎明する3. 対象財産を特定(不動産、預金、有価証券、会員権)し、仮差押え、仮処分の範囲を定める4. 開始決定後は99条本体に切り替え、最終的に100条の責任査定で賠償額を確定させる
訴えられた側:1. 保全処分の決定通知を受けたら、まず対象財産と発令の根拠を確認し、即時抗告(99条5項準用)で争えるか検討する2. 自分の関与度や任務懈怠の有無を裏づける資料(取締役会議事録、反対意見の記録)を確保する3. 名目的役員であることや監視義務の限界を主張し、責任の範囲を限定する4. 保全期間中の対象財産は事実上凍結される。無断処分は後の責任を重くするため厳禁
時効(請求できる期限):本条による保全処分は、更生手続開始の申立てがあった時から開始決定があるまでの期間に限り発令できる(40条1項)。この空白期間が時間的射程である。役員の損害賠償責任自体の消滅時効は別途、原則として権利を行使できる時から進行する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条の保全処分は、役員の責任がまだ確定せず更生手続の開始すら決まっていない段階で財産権を制約するものであるため、緊急の必要性を厳格に要求し、99条2項以下の準用により事後の不服申立て(即時抗告)で均衡を図るものと解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年)会社更生法全部改正 昭和27年制定の旧会社更生法を全面的に改め、現行会社更生法(法律第154号、2003年施行)が成立。手続開始前の役員財産保全の枠組みが現在の条文構成へ再編された。本条自体の個別改正回数は未確認のため要人的検証
改正の年表
- 1.昭和27年(1952年) 新設:米国連邦倒産法 Chapter X を母法として旧会社更生法を制定。倒産再建型手続として役員財産の保全枠組みが導入された
- 2.平成14年(2002年) 改正:会社更生法を全部改正(法律第154号、2003年施行)。手続開始前の役員財産保全の枠組みが現行40条・99条・100条の条文構成へ再編された。本条自体の個別改正回数は未確認のため要人的検証
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