会社更生法 第108条(価額に相当する金銭の納付等)
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- 管財人は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める金銭を、裁判所の定める期限までに、裁判所に納付しなければならない。
- 一請求期間内に価額決定の請求がなかったとき、又は価額決定の請求のすべてが取り下げられ、若しくは却下されたとき申出額に相当する金銭
- 二第百六条第二項の決定が確定したとき当該決定により定められた価額に相当する金銭
- 2.裁判所は、前項の期限の到来前においては、同項の期限を変更することができる。
- 3.被申立担保権者の有する担保権は、第一項又は第百十二条第二項の規定による金銭の納付があった時に消滅する。
- 4.第一項又は第百十二条第二項の規定による金銭の納付があったときは、裁判所書記官は、消滅した担保権に係る登記又は登録の抹消を嘱託しなければならない。
- 5.管財人が第一項若しくは第百十二条第二項の規定による金銭の納付をしないとき、又は管財人がこれらの規定による金銭の納付をする前に更生計画認可の決定があったときは、裁判所は、第百四条第一項の決定を取り消さなければならない。
この条文の基本情報
価額に相当する金銭の納付等とは何ですか?
定義価額に相当する金銭の納付等とは、会社更生法第108条に定められた規定で、「管財人は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める金銭を、裁判所の定める期限までに、裁判所に納付しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第108条(価額に相当する金銭の納付等)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第108条の条文原文は「管財人は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める金銭を、裁判所の定める期限までに、裁判所に納付しなければならない。」で始まります。
- 会社更生法第108条は第一款に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第108条の前の条は会社更生法第107条です。
- 会社更生法第108条の次の条は会社更生法第109条です。
- 会社更生法第108条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第108条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第108条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/108
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法108条は、管財人が担保物の価額に相当する金銭を裁判所に納付した時に、更生会社の資産に付いた担保権が消滅すると定める。担保権者は価額決定の請求でのみ争える。
Q · 取引先が会社更生に入ったら、抵当権を持っていれば貸付金は守られるの?
管財人が担保価値を納付すれば、抵当権は消える
会社更生法108条により、管財人は裁判所の許可(104条)を得たうえで、担保物の価額に相当する金銭を裁判所の定める期限までに納付します。その金銭が納付された瞬間、あなたの担保権は法律上消滅し(本条3項)、登記も裁判所書記官の嘱託で職権抹消されます(4項)。残った貸付金は無担保の更生債権に格下げされます。納付額が低すぎると思うなら、価額決定の請求(105条)を期間内に行うことが唯一の対抗手段です。
解説
取引先が会社更生手続に入った。あなたの会社はその工場に抵当権を持っている、だから貸付金は守られていると思っている。だが会社更生法は、その安心を裏切る。管財人は『この工場は更生に不可欠だ』として、裁判所の許可(104条)を得たうえで、工場の今の評価額を裁判所に納める。その金銭が納付された瞬間、あなたの抵当権は法律上消滅する(本条3項)。あなたが『その評価額は低すぎる』と思うなら、価額決定の請求をして争うしかない。それをしなければ、管財人の申し出た額がそのまま確定する。抵当権は『あれば安全』な盾ではなく、『価額を争えなければ削られる』権利だと、本条はあなたに突きつけてくる。
法的な位置づけ
会社更生法108条は、担保権消滅制度における金銭納付と担保権消滅の効果を定める規定である。管財人が104条の許可に基づき申出額または価額決定額に相当する金銭を期限までに裁判所へ納付すると、被申立担保権者の担保権はその納付時に消滅し、登記も職権で抹消される。納付がない場合は許可決定が取り消される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.更生手続開始と担保権消滅許可の申立てを察知する 取引先の会社更生手続開始の情報を掴んだら、自社の担保物が『更生に不可欠な資産』として104条の担保権消滅許可の対象になりうるか確認する。情報を掴んだ瞬間が勝負の起点で、ここで動かないと後手に回る
- 2.担保物の時価評価を直ちに手配する 管財人の申出額が時価より低いかを判断するため、不動産鑑定士や機械評価の専門家を手配する。価額決定の請求期間は短いため、期限ぎりぎりで鑑定を依頼しても間に合わない
- 3.価額決定の請求を期間内に行う 申出額が時価より低いと判断したら、会社更生法105条の請求期間内に価額決定の請求を裁判所へ提出する。期間徒過は申出額の確定を意味し、争う道が閉ざされる
- 4.納付後は残債を更生債権として届け出る 金銭が納付されると担保権は消滅し登記も抹消される(本条3項4項)。担保価値を超える貸付残高は無担保の更生債権に落ちるため、更生債権としての届出期間内に必ず届け出る
よくある質問 AI による整理
Q1会社更生で抵当権はどうなりますか?
管財人が104条の許可を得て担保物の価額相当額を裁判所に納付すると、その時点で抵当権は法律上消滅します(会社更生法108条3項)。残債は無担保の更生債権になります。
Q2担保権消滅の対価はいつ決まりますか?
価額決定の請求がなければ管財人の申出額で確定し、請求があれば106条の決定で定まった価額で確定します。その金額相当の金銭が裁判所に納付されます。
Q3管財人が金銭を納付しなかったらどうなりますか?
納付がない場合、または納付前に更生計画認可の決定があった場合、裁判所は104条の許可決定を取り消さなければなりません(本条5項)。担保権は消えずに残ります。
Q4価額決定の請求はいつまでにすべきですか?
会社更生法105条の請求期間内に行う必要があります。期間を過ぎると管財人の申出額がそのまま確定し、価額を争う道が閉ざされます。
Q5担保権が消えた後の登記はどうなりますか?
金銭の納付があると、裁判所書記官が消滅した担保権に係る登記または登録の抹消を嘱託します(本条4項)。担保権者が自分で抹消手続をする必要はありません。
Q6納付の期限は変更できますか?
裁判所は期限の到来前であれば、納付期限を変更することができます(本条2項)。管財人の資金繰りに応じて調整される余地があります。
Q7譲渡担保や個人の貸付債権でも消滅の対象になりますか?
更生に不可欠な資産に付いた担保権であれば、譲渡担保や個人債権者の担保権も消滅の対象になりえます。『個人の貸付だから守られる』とは限りません。
Q8担保権が消えると残りの貸付金はどうなりますか?
担保価値相当額を受け取って終わり、貸付残高との差額は無担保の更生債権に格下げされます。更生債権としての届出を忘れないことが重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1抵当権があるのに、本人の同意なく消されるなんて、そんなことが許されるんですか?
許されます。会社更生法は、更生に必要な資産の担保権を、担保価値に相当する金銭の納付と引き換えに消滅させる制度を設けています(104条、本条3項)。財産権の侵害ではなく、正当な対価による調整と整理されているからです。実務のポイント:争えるのは『消滅の是非』ではなく『価額が時価か』の一点。多くの担保権者がここを誤解し、制度の不当性を訴えて時間を浪費する間に、価額決定の請求期間を逃す。
Q2管財人がお金を払わなかったら、担保権はどうなるんですか?
納付がなければ、担保権消滅の許可決定(104条1項)は裁判所により取り消され、あなたの担保権はそのまま残ります(本条5項)。更生計画の認可決定が納付前に出た場合も同様です。実務のポイント:管財人にとって納付資金の手当ては死活問題。資金が組めず納付できなければ、確保しかけた資産に担保権が残り、更生計画の前提が崩れる。担保権者側は相手の資金繰りを見極めれば、交渉の主導権を握れる。
間違えやすい点 AI による整理
- 「抵当権があれば、会社が潰れても優先的に回収できる」と思っているが、会社更生では管財人が担保価値を納付すれば抵当権そのものが消える。優先弁済を受けるのではなく、担保物の『今の価値』だけを受け取って終わる。借入残高との差額は無担保の更生債権に落ちる。
- 価額決定の請求ができることは知っていても、その重みを過小評価している人が多い。請求期間を過ぎれば、管財人が提示した申出額がそのまま確定する。不動産市況が冷えている局面では、その申出額があなたの貸付残高を大きく下回ることがある。知っているだけで動かなければ、知らないのと同じ結果になる。
- あなたから見れば『担保を取り上げられる被害』だが、法律から見れば『担保価値に相当する正当な対価を受け取る取引』だ。この落差を理解せず『不当だ』と制度そのものを争っても通らない。争うべきは消滅の是非ではなく、提示された価額が本当に時価かどうか、その一点だ。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 108条:金銭納付と担保権消滅の効果(納付時に消滅) | 104条:担保権消滅の許可決定(消滅の前提となる裁判) 105条:価額決定の請求(担保権者が申出額を争う手段) |
| 誰が動く規定か | 管財人が金銭を納付する義務(本条1項) | 管財人が許可を申し立てる 担保権者が請求して争う |
| 担保権者への効果 | 納付時に担保権が消滅、登記も職権抹消(3項4項) | 消滅が許可されるが、まだ消えてはいない 申出額を時価相当へ是正できる可能性 |
| 不納付・遅延の効果 | 納付しない/認可決定が先行すると許可決定が取消し(5項) | 許可決定が取り消されれば担保権は残る 請求しなければ申出額が確定する |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の公司重整では有担保重整債権として担保権者の権利を整理するが、価額納付による担保権の個別消滅という日本型の制度設計とは構造が異なる
韓国の債務者回生法も回生手続における担保権の取扱いを定め、再建のための担保権調整という思想は日本と類似する
ドイツ倒産法は管財人による担保目的物の換価(Verwertung)を中心に設計し、担保権者には換価額からの優先弁済と費用控除で調整する。納付による担保権消滅とはアプローチが異なる
米国 Chapter 11では裁判所の許可により担保権の負担を除いた資産売却(free and clear)が可能で、担保権は売却代金に移行する。再建のための資産確保という目的は日本の担保権消滅制度と共通する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先が更生手続開始。あなたの銀行は本社ビルに第一順位の抵当権を持っている。管財人から『価額決定の請求期間内に争わなければ、申出額のまま担保権は消える』という趣旨の通知が届いたら、どう動く? 評価額を争うか、放置して申出額を受け入れるか、その判断に与えられた時間はわずかだ。
- あなたが管財人として、更生に不可欠な工場の抵当権を消そうとしている。裁判所の定めた納付期限はあと数日。期限までに価額相当額を納めなければ、せっかく得た104条の許可決定が取り消される(本条5項)。納付資金の手当てが間に合うかどうかに、更生計画の前提がかかっている。
- 担保権者として価額決定の請求をしなかった。申出額が確定し、その金銭が納付された。あなたの抵当権は消え、登記も裁判所書記官の嘱託で職権抹消される。残った貸付金は、ただの更生債権へ格下げされる。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取引先の更生手続開始と担保権消滅の許可申立て(104条)を察知したら、即座に担保物の時価評価に着手。不動産鑑定士や機械評価の専門家を手配する。2. 管財人の申出額が時価より低いと判断したら、価額決定の請求期間内(105条)に必ず請求する。期間徒過は申出額確定を意味する。3. 価額決定の手続では鑑定書や取引事例で裏付けた評価を主張。4. 納付後は担保権が消え登記も抹消される(本条3項4項)。残債は更生債権として届出を忘れない。
訴えられた側:1. 更生に不可欠な資産を特定し、担保権消滅の許可(104条)を申し立てる。申出額は後の争いを見据え、合理的な評価根拠を準備。2. 許可決定後は裁判所の定める納付期限を厳守。資金繰りが厳しければ期限変更の余地がある(本条2項)。3. 価額決定の請求があれば、その確定額を納付する(本条1項2号)。4. 最重要は、更生計画認可決定の前に納付を完了させること。認可が先だと許可決定が取り消される(本条5項)。
時効(請求できる期限):管財人の納付期限は裁判所が事件ごとに定め、期限到来前なら変更されうる(本条1項・2項)。担保権者にとっての真の期限は価額決定の請求期間(会社更生法105条、法律で定められた期間。最新の改正状況をご確認ください)。この期間を過ぎると申出額が確定し、価額を争う道が閉ざされる。
学説
通説:担保権消滅制度は、更生に不可欠な資産の担保権を価額相当額の納付により消滅させることで、担保権者には担保物の『今の価値』を保障しつつ更生会社に資産活用を認める調整制度と理解される。財産権の侵害ではなく正当な対価による清算であり、担保権者が争えるのは消滅の是非ではなく価額の相当性であるとされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年)会社更生法全部改正 旧会社更生法(昭和27年法)を全部改正した現行法(平成14年法律第154号、2003年施行)で、担保権消滅制度の一環として新設。更生に必要な資産の担保権を価額相当額の納付により消滅させる仕組みを整備した
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 新設:旧会社更生法(昭和27年法)を全部改正した現行法(平成14年法律第154号、2003年施行)において、担保権消滅制度の一環として整備。更生に必要な資産の担保権を価額相当額の納付により消滅させ、納付時消滅・登記職権抹消・不納付時の許可取消しという効果を明文化した。
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