会社更生法 第25条(包括的禁止命令)
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- 裁判所は、更生手続開始の申立てがあった場合において、前条第一項第二号若しくは第六号又は第二項の規定による中止の命令によっては更生手続の目的を十分に達成することができないおそれがあると認めるべき特別の事情があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、更生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、全ての更生債権者等に対し、同条第一項第二号に規定する強制執行等、同項第六号に規定する外国租税滞納処分及び同条第二項に規定する国税滞納処分の禁止を命ずることができる。ただし、事前に又は同時に、開始前会社の主要な財産に関し第二十八条第一項の規定による保全処分をした場合又は第三十条第二項に規定する保全管理命令若しくは第三十五条第二項に規定する監督命令をした場合に限る。
- 2.前項の規定による禁止の命令(以下「包括的禁止命令」という。)を発する場合において、裁判所は、相当と認めるときは、一定の範囲に属する前条第一項第二号に規定する強制執行等、同項第六号に規定する外国租税滞納処分又は同条第二項に規定する国税滞納処分を包括的禁止命令の対象から除外することができる。
- 3.包括的禁止命令が発せられた場合には、次の各号に掲げる手続で、開始前会社の財産に対して既にされているもの(当該包括的禁止命令により禁止されることとなるものに限る。)は、当該各号に定める時までの間、中止する。
- 一前条第一項第二号に規定する強制執行等の手続及び同項第六号に規定する外国租税滞納処分更生手続開始の申立てについての決定があった時
- 二前条第二項に規定する国税滞納処分前号に定める時又は当該包括的禁止命令の日から二月が経過した時のいずれか早い時
- 4.裁判所は、包括的禁止命令を変更し、又は取り消すことができる。
- 5.裁判所は、開始前会社の事業の継続のために特に必要があると認めるときは、開始前会社(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより、担保を立てさせて、第三項の規定により中止した同項各号に掲げる手続の取消しを命ずることができる。ただし、前条第二項に規定する国税滞納処分の取消しを命ずる場合においては、あらかじめ、徴収の権限を有する者の意見を聴かなければならない。
- 6.包括的禁止命令、第四項の規定による決定及び前項の規定による取消しの命令に対しては、即時抗告をすることができる。
- 7.前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
- 8.包括的禁止命令が発せられたときは、更生債権等(当該包括的禁止命令により前条第一項第二号に規定する強制執行等又は同条第二項に規定する国税滞納処分が禁止されているものに限る。)については、当該包括的禁止命令が効力を失った日の翌日から二月を経過する日までの間は、時効は、完成しない。
この条文の基本情報
包括的禁止命令とは何ですか?
定義包括的禁止命令とは、会社更生法第25条に定められた規定で、「裁判所は、更生手続開始の申立てがあった場合において、前条第一項第二号若しくは第六号又は第二項の規定による中止の命令によっては更生手続の目的を十分に達成することが…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第25条(包括的禁止命令)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第25条の条文原文は「裁判所は、更生手続開始の申立てがあった場合において、前条第一項第二号若しくは第六号又は第二項の規定による中止の命令によっては更生手続の目的を十分に達成することが…」で始まります。
- 会社更生法第25条は第一款に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第25条の前の条は会社更生法第24条です。
- 会社更生法第25条の次の条は会社更生法第26条です。
- 会社更生法第25条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第25条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第25条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/25
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法25条の包括的禁止命令は、開始決定前に全更生債権者の強制執行・滞納処分を一斉に禁止する命令で、特別の事情と保全処分等の先行を要件とする。
Q · 包括的禁止命令が出ると、債権者の差押えはどうなるの?
特別の事情と保全処分等の先行があれば全執行が一斉に止まる
会社更生法25条により、裁判所は更生手続開始決定までの間、全ての更生債権者等の強制執行・外国租税滞納処分・国税滞納処分を一括して禁止できます。発令には、24条の個別中止命令では更生手続の目的を達成できない『特別の事情』があり、かつ保全処分・保全管理命令・監督命令のいずれかが先行又は同時にされていることが必要です(1項ただし書)。既にされている執行は中止し(3項)、相当と認める範囲は対象から除外されます(2項)。
解説
取引先の大企業が倒れそうだと聞いて、慌てて売掛金を回収しようと差押えを申し立てた。あなたより一歩早く動いた債権者も、出遅れた債権者もいる。早い者勝ちのレースが始まる。ところがある日、裁判所から一通の通知が届く。「包括的禁止命令」。これが出た瞬間、あなたの差押えも、他のすべての更生債権者の強制執行も、国税の滞納処分すら一斉に凍結される。会社更生法25条は、更生手続開始の決定が出る前の空白期間に、抜け駆けの財産奪い合いを止める非常ブレーキだ。一件ずつ止める24条の中止命令では追いつかない、そんな「特別の事情」があるときだけ発動できる。しかも保全処分や保全管理命令、監督命令が先に、または同時に出ていることが条件(1項ただし書)。つまり裁判所が「この会社は本気で立て直す」と判断した証でもある。あなたが債権者なら、この命令が出た時点でレースのルールそのものが書き換わったと理解しなければならない。
法的な位置づけ
会社更生法25条の包括的禁止命令とは、更生手続開始の申立て後・開始決定前の段階で、裁判所が全ての更生債権者等を対象に強制執行等・外国租税滞納処分・国税滞納処分を包括的に禁止する命令である。個別の中止命令(24条)では更生手続の目的を達成できない特別の事情があり、保全処分・保全管理命令・監督命令のいずれかが先行又は同時にされていることを発令要件とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.命令の対象範囲を真っ先に確認 通知が届いたら、自分の執行が3項各号のどれに当たるか、2項の除外対象に含まれていないかを精査する。強制執行等か、外国租税滞納処分か、国税滞納処分かで止まる期間が異なる
- 2.除外見込みのある権利を確認 動産売買先取特権など命令前に着手していた強い権利があれば、2項の除外対象に入る見込みを代理人に確認する。命令発令後に慌てるより、保全処分が出た段階で先手を打てるかが回収率を分ける
- 3.争うか届出かの方針を決定 命令に不服なら即時抗告できるが(6項)、執行停止効はない(7項)。抗告で正面から争うより、自分の権利を除外対象に入れる働きかけのほうが実利が大きい場合が多い。並行して更生債権の届出準備を進める
- 4.時効と配当を見据えて待機 凍結中も8項で時効は完成しないため、回収を諦めず、更生計画内での配当や弁済を見据えて動く。命令の効力が失われた日の翌日から2か月以内に必要な権利行使を準備する
よくある質問 AI による整理
Q1包括的禁止命令とは何ですか?
会社更生法25条に基づき、開始決定前に全ての更生債権者等の強制執行・滞納処分を一斉に禁止する裁判所の命令です。早い者勝ちの財産奪い合いを止める非常ブレーキです。
Q224条の中止命令と25条の違いは何ですか?
24条は手続を一件ずつ止める個別の中止命令、25条は全債権者に対し包括的に禁止する命令です。24条では足りない特別の事情があるときだけ25条を発令できます。
Q3包括的禁止命令に即時抗告すると執行は止まりますか?
止まりません。命令には即時抗告できますが(6項)、その抗告に執行停止の効力はありません(7項)。争っている間も凍結は続きます。
Q4国税滞納処分はいつまで中止されますか?
開始申立てについての決定があった時か、命令日から2か月が経過した時の、いずれか早い時までです(3項2号)。他の執行より短い時間枠が用意されています。
Q5包括的禁止命令中に消滅時効は進みますか?
進みません。命令が効力を失った日の翌日から2か月を経過する日まで、時効は完成しません(8項)。会社側が時間切れを狙う逃げ道はふさがれています。
Q6自分の差押えだけ命令の対象から外せますか?
裁判所は相当と認めれば、一定範囲の執行を対象から除外できます(2項)。動産売買先取特権など命令前に着手した権利は除外交渉の余地があります。
Q7会社が事業を続けるため止まった手続を動かせますか?
事業継続に特に必要なときは、担保を立てて中止した手続の取消しを申し立てられます(5項)。国税滞納処分の取消しには徴収権者の意見聴取が必要です。
Q8包括的禁止命令を出すのに前提となる命令は何ですか?
発令前か同時に、28条の保全処分・30条の保全管理命令・35条の監督命令のいずれかがされている必要があります(1項ただし書)。単独では出ません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1包括的禁止命令が出たら、自分の差押えはもう完全にダメになるんですか?
完全に消えるわけではありません。命令によって「中止」されるだけで(3項)、更生手続開始の決定があるまでの一時凍結です。手続が更生計画に取り込まれれば、配当という形で回収できる余地が残ります。実務のポイント: 実務では、命令前に着手済みの執行が2項で除外対象になるかどうかが回収率を左右します。先取特権など強い権利を持つ債権者は、命令発令前の段階で代理人に除外見込みを確認しておくと、漫然と待つ債権者と最終回収額が大きく変わります
Q2命令に納得できないとき、すぐ止められますか?
即時抗告はできますが(6項)、抗告しても執行停止の効力はありません(7項)。つまり争っている間も凍結は続きます。実務のポイント: 経験ある倒産弁護士は、抗告で正面から争うより、自分の権利が2項の除外対象に入るよう働きかける方が実利が大きいと判断することが多い。7項の「執行停止効なし」という壁があるため、抗告で勝っても時間がかかり、その間に手続は先へ進む。争う土俵を選び間違えないことが肝心です
間違えやすい点 AI による整理
- 「裁判所に申し立てれば包括的禁止命令はすぐ出る」と思われがちだが、発令には厳しい関門がある。24条の個別中止命令では目的を達成できないという「特別の事情」が必要で、しかも保全処分・保全管理命令・監督命令のいずれかが先に、または同時に出ていなければならない(1項ただし書)。単独では絶対に出ない、必ず別の命令とセットだ
- 命令が出れば自分の債権は守られたと安心する人がいるが、止まるのは「取立ての手段」であって「債権そのもの」ではない。むしろ知っておくべきは8項の存在だ。包括的禁止命令で執行を止められている間、本来進むはずの消滅時効は完成しない仕組みになっている。会社側が時間切れを狙っても、その逃げ道はふさがれている
- 債権者から見れば「正当な権利を一方的に奪われた」と感じる凍結だが、法から見れば「全員を同じスタートラインに戻す」公平の回復だ。この落差を理解せずに即時抗告(6項)で争っても、抗告には執行停止の効力すらない(7項)。怒りに任せて動くほど、時間と費用だけが消えていく
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 禁止の範囲 | 25条:全ての更生債権者等に対し包括的に禁止 | 24条:特定の手続を一件ずつ個別に中止 破産法25条:破産手続における同趣旨の包括的禁止命令 |
| 発令要件 | 24条では足りない『特別の事情』+保全処分等の先行 | 更生のため必要と認めるとき 破産法上の特別の事情+保全処分等の先行 |
| 対象除外・解除 | 2項で一定範囲を除外、5項で担保を立て取消し可 | 個別命令ごとに判断 破産法上の同様の除外・取消し規定 |
| 不服申立て | 即時抗告可(6項)、執行停止効なし(7項) | 即時抗告可、執行停止効なし 即時抗告可、執行停止効なし |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は会社重整の裁定前に、裁判所が強制執行の停止等の保全処分をできる。日本のような『全債権者一律の包括命令』ではなく個別の保全処分構成に近い点が相違
韓国の統合倒産法(DRBA)も포괄적 금지명령を置き、開始決定前に全債権者の강제집행等を一律に禁止する。要件・構造が日本と極めて近い
ドイツは開始決定前の保全措置として執行禁止(Vollstreckungssperre)を裁判所が命じる。包括命令という独立類型ではなく、保全措置のメニューの一つとして位置づけられる
米国は申立てと同時に法律上当然に全債権者の取立て・執行が停止する『自動的停止』。日本のように裁判所の裁量的発令と特別の事情を要しない点が根本的に異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先が手形を不渡りにした。あなたは回収のため工場の機械に差押えをかけ、来週には競売の予定だった。その3日前に包括的禁止命令。競売は止まり、配当を待つしかなくなる。誰より早く動いたあなたの努力が、命令一本で同じスタートラインに巻き戻される
- もし、あなたが大口の取引先で、すでに動産売買先取特権の実行に着手していたら? 命令が出ても、2項で対象から除外される余地がある。すべての執行が一律に凍るわけではない。自分の権利が除外対象に入るかどうかが、回収率の分水嶺になる
- 未納の法人税を抱える会社に、税務署が滞納処分で口座を差し押さえようとしている。包括的禁止命令は国税滞納処分も止められるが、こちらは命令日から2か月で自動的に切れる(3項2号)。国側には他の債権者と違う特別な時間枠が用意されている
- あなたが経営者で、事業を続けながら更生を目指している。止まった差押えのせいで一部の取引が回らなくなった。事業継続に特に必要なら、担保を立てて中止した手続の取消しを申し立てられる(5項)。全面凍結のなかに、必要な部分だけ解除する逆向きのカードがある
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず命令の対象範囲を確認。あなたの執行が3項各号のどれに当たり、2項の除外対象に含まれていないかを精査する2. 動産売買先取特権など命令前に着手していた権利があれば、除外の見込みを代理人に確認3. 命令自体に不服があれば即時抗告(6項)できるが、執行停止効はない(7項)ので、並行して更生債権の届出準備を進める4. 凍結中も8項で時効は完成しないため、回収を諦めず、更生計画内での配当や弁済を見据えて動く
訴えられた側:1. 個別の中止命令(24条)で足りるか、特別の事情があり包括的禁止命令まで必要かを申立代理人と判断2. 発令の前提として保全処分(28条)・保全管理命令(30条)・監督命令(35条)のいずれかを先にまたは同時に確保3. 事業継続に特定の手続が支障となるなら担保を立てて5項の取消しを申し立て、ただし国税滞納処分の取消しには徴収権者の意見聴取が必要4. 即時抗告で命令が覆るリスクに備え、更生計画の骨子を早期に固める
時効(請求できる期限):包括的禁止命令による中止は、更生手続開始の申立てについての決定があった時まで(3項1号)。国税滞納処分はその時又は命令日から2か月の経過のいずれか早い時まで(3項2号)。命令・変更取消決定・取消しの命令に対する即時抗告(6項)は告知を受けた日から起算する不変期間。消滅時効は命令が効力を失った日の翌日から2か月を経過する日まで完成しない(8項)
学説
通説:包括的禁止命令は、開始決定前の空白期間における債権者間の抜け駆け的な権利行使を一律に封じ、債権者平等と更生手続の実効性を確保する制度と理解される。発令要件を厳格に絞り、2項の除外・5項の取消しという弁を備えることで、債権者平等と個別権利保護の調整を図るものと位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年)会社更生法全部改正 旧会社更生法(昭和27年法律第172号)を全面的に改め、現行会社更生法を制定。先行する民事再生法・破産法にならい、開始決定前の財産散逸と債権者間の抜け駆けを防ぐ包括的禁止命令の制度を新設した
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 新設:旧会社更生法(昭和27年法律第172号)を全面的に改め現行会社更生法を制定(平成14年法律第154号)。先行する民事再生法・破産法にならい、開始決定前の財産散逸と債権者間の抜け駆けを防ぐ包括的禁止命令の制度を新設した
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