会社更生法 第272条(収賄罪)
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- 管財人、管財人代理、保全管理人、保全管理人代理、監督委員、調査委員又は法律顧問が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 2.前項の場合において、その管財人、管財人代理、保全管理人、保全管理人代理、監督委員、調査委員又は法律顧問が不正の請託を受けたときは、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 3.管財人、保全管理人、監督委員又は調査委員(以下この条において「管財人等」という。)が法人である場合において、管財人等の職務を行うその役員又は職員が、その管財人等の職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。管財人等が法人である場合において、その役員又は職員が、その管財人等の職務に関し、管財人等に賄賂を収受させ、又はその供与の要求若しくは約束をしたときも、同様とする。
- 4.前項の場合において、その役員又は職員が不正の請託を受けたときは、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 5.更生債権者等、株主若しくは代理委員又はこれらの者の代理人、役員若しくは職員が、関係人集会の期日における議決権の行使又は第百八十九条第二項第二号に規定する書面等投票による議決権の行使に関し、不正の請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 6.前各項の場合において、犯人又は法人である管財人等が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
この条文の基本情報
収賄罪とは何ですか?
定義収賄罪とは、会社更生法第272条に定められた規定で、「管財人、管財人代理、保全管理人、保全管理人代理、監督委員、調査委員又は法律顧問が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第272条(収賄罪)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第272条の条文原文は「管財人、管財人代理、保全管理人、保全管理人代理、監督委員、調査委員又は法律顧問が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の…」で始まります。
- 会社更生法第272条は第十三章に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第272条の前の条は会社更生法第271条です。
- 会社更生法第272条の次の条は会社更生法第273条です。
- 会社更生法第272条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第272条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第272条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/272
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法272条は、更生手続の管財人や監督委員らが職務に関し賄賂を受けた場合に収賄罪で処罰する規定。不正の請託があれば5年以下の拘禁刑に加重される。
Q · 倒産会社の管財人って結局は弁護士ですよね? なんで賄賂を受けると公務員みたいに処罰されるんですか?
管財人らは公的権限を握るため、民間人でも収賄罪で処罰されます
会社更生法272条により、管財人・保全管理人・監督委員・調査委員・法律顧問が職務に関し賄賂を収受・要求・約束すると、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処せられます。これらは民間の弁護士・会計士であっても、刑法197条の公務員収賄罪に準じて扱われます。不正の請託を受けた場合は5年以下の拘禁刑に加重され(2項)、関係人集会で議決権を売買した更生債権者・株主等も5年以下の対象です(5項)。収受された賄賂は没収・追徴されます(6項)。
解説
取引先が会社更生手続に入った。あなたは数千万円の売掛金を抱える債権者だ。その手続を仕切るのは裁判所が選んだ管財人、その正体はたいてい一人の弁護士である。ここで多くの人が見落とす事実がある。この弁護士は民間人でありながら、職務に関して賄賂を受け取れば公務員と同じく収賄罪で処罰される。会社更生法272条は、管財人、保全管理人、監督委員、調査委員、法律顧問、さらに管財人が法人ならその役職員までを処罰網に入れ、不正の請託があれば刑は5年以下の拘禁刑に跳ね上がる。そして見落とされがちな5項。債権者や株主が関係人集会で議決権を金で売れば、これも5年以下の収賄罪だ。あなたが一票を持つ債権者なら、その一票には値札を付けてはならないという意味になる。
法的な位置づけ
会社更生法272条は、更生手続において公的権限を行使する管財人・保全管理人・監督委員・調査委員・法律顧問等が、その職務に関し賄賂を収受・要求・約束する行為を処罰する収賄罪の規定である。これらの者は民間人であっても、刑法197条の公務員収賄罪に準じて扱われる。関係人集会における議決権行使に関する収賄も対象とする。
よくある質問 AI による整理
Q1会社更生の管財人とは何ですか?
裁判所が選任し、倒産した会社の財産管理・処分や再建計画の遂行を担う者です。多くは弁護士で、強い公的権限を握るため、賄賂を受ければ272条の収賄罪で処罰されます。
Q2更生手続収賄罪の時効は何年ですか?
法定刑によります。1項・3項(3年以下の拘禁刑)は3年、2項・4項・5項(5年以下の拘禁刑)は5年が公訴時効で、原則として犯罪行為終了時から起算します(刑訴250条2項)。
Q3監督委員と調査委員の違いは何ですか?
監督委員は管財人の行為を監督する立場、調査委員は会社の財産状況等を調査する立場です。どちらも272条の収賄罪の対象で、職務に関する賄賂は処罰されます。
Q4管財人が法人の場合、誰が処罰されますか?
3項により、管財人等の職務を行うその役員または職員が処罰対象になります。組織だからといって個人責任が消えるわけではなく、不正の請託があれば4項で加重されます。
Q5債権者集会の議決権を売ると違法ですか?
違法です。5項により、更生債権者・株主・代理委員等が議決権行使に関し不正の請託を受けて賄賂を収受・要求・約束すると、5年以下の拘禁刑の対象になります。
Q6会社更生法272条の賄賂は没収されますか?
6項により、収受した賄賂は没収されます。全部または一部を没収できないときは、その価額が追徴されます。受け取った金銭的利益は事実上手元に残りません。
Q7不正の請託があると刑はどう変わりますか?
1項・3項の3年以下の拘禁刑が、不正の請託を受けた場合は2項・4項により5年以下の拘禁刑に加重されます。請託の有無が量刑の分岐点になります。
Q8破産手続にも同じような収賄罪はありますか?
破産法にも破産管財人等の収賄を処罰する同趣旨の規定があり、倒産処理の各手続で公正を守る枠組みが平仄をとって設けられています(現行効力は要確認)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1管財人って結局ただの弁護士ですよね? なんで賄賂で公務員みたいに処罰されるんですか?
管財人は裁判所が選任し、倒産した会社の財産管理・処分という強い公的権限を握ります。だからこそ会社更生法272条は、民間人であっても職務の公正さを公務員並みに守らせるのです。実務のポイント:管財人報酬は裁判所が決める(会社更生法80条の善管注意義務とセット)ので、それ以外の名目で関係先から金が動いたら、まず疑われます。正当報酬は裁判所経由、これが鉄則
Q2債権者集会で『賛成してくれたらお礼する』って言われました。受け取らなければセーフですよね?
受け取らなくても、要求や約束の段階で5項の収賄罪は成立しえます(『要求若しくは約束をしたとき』)。逆に持ちかけた側も贈賄側の責任を負います。実務のポイント:こういう打診は『多数派工作』として水面下で珍しくありません。断るだけでなく、やり取りを記録して管財人か裁判所に報告した方が、後で巻き込まれたときに自分の潔白を証明できる。沈黙は身を守りません
Q3接待やゴルフ程度なら賄賂にならないんじゃ?
賄賂の客体は財産上の利益全般で、接待・ゴルフ・過剰な顧問料も職務関連性があれば賄賂になりえます。金額の多寡だけで安全圏は決まりません。実務のポイント:刑法197条以下の公務員収賄の判例理論がほぼそのまま参照されます。『社交儀礼の範囲』という抗弁はあるものの、立場が管財人や監督委員なら社会の見る目は厳しく、グレーは限りなくクロ扱いされやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 「収賄罪は公務員だけの犯罪」という前提が、そもそも間違っている。管財人や監督委員は民間人(多くは弁護士・会計士)だが、会社更生法は彼らをみなし公務員的に扱い、職務に関する賄賂を公務員と同じ枠組みで処罰する。あなたが立てた『自分は公務員じゃないから関係ない』という問いの立て方自体が、最初からずれている
- 債権者集会の票の取りまとめが収賄になりうることは知っていても、その深刻さを甘く見ている人が多い。5項の刑は5年以下の拘禁刑、しかも受け取った賄賂は6項で全額没収・追徴される。『多数派工作』という言葉のカジュアルさと、実際の刑の重さの落差が危ない
- 「賄賂は現金の手渡しだけ」と思われがちだが、収賄の客体は財産上の利益全般。接待、過剰な顧問料、再就職の約束、債務の肩代わりも賄賂になりうる。形を変えれば安全という発想が、立件のきっかけになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象者 | 会社更生法272条:管財人・監督委員・調査委員・法律顧問・議決権者等(民間人) | 刑法197条:公務員 破産法:破産管財人等 |
| 不正の請託の効果 | 3年以下 → 不正の請託で5年以下に加重(1項→2項) | 受託収賄として加重(197条1項後段) 同趣旨で加重あり |
| 議決権行使に関する収賄 | 5項で関係人集会の議決権売買を処罰(5年以下) | 規定なし 債権者集会の議決権について同趣旨 |
| 賄賂の没収 | 6項で没収・追徴 | 刑法197条の5で没収・追徴 没収・追徴規定あり |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も倒産・重整手続関係者の不正行為に処罰規定を置くが、収賄は刑法の瀆職・背信規定も併用される。日本のように手続法内で公務員準用型の収賄罪を一本化する明確さは弱い。
韓国は倒産手続を統合した同法の中で管財人等の収賄を処罰する規定を置き、日本の272条と同様に手続関係者の職務公正を刑事で担保する。
ドイツは倒産手続自体に独立の収賄罪を置かず、Insolvenzverwalter の不正は背任(Untreue)や経済取引上の贈収賄(§299)で捕捉する。日本のような専用収賄条文ではない点が異なる。
米国は連邦倒産犯罪の一環として、倒産手続における財産の授受・賄賂を処罰する。会社更生型(旧Chapter X、現Chapter 11)の母法として日本法に影響を与えた背景がある。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 更生手続中、ある大口債権者から「集会では一緒に再建計画に賛成してくれ、礼はする」と打診されたら? その「礼」を受け取った瞬間、あなたは5項の収賄罪、5年以下の拘禁刑の対象になる。打診した側も贈賄に問われうる
- あなたが弁護士として管財人に選任された。再建計画で特定のスポンサーに有利な扱いをする見返りに、そのスポンサー側から顧問契約名目で金銭を受けた。職務に関する賄賂であり、不正の請託付きなら2項で5年以下。弁護士資格そのものが吹き飛ぶ
- 監督委員に就いた会計士が、調査対象の会社から接待漬けにされた。職務に関する利益供与は収賄になりうる。接待の線引きを見誤れば、立場が一夜で逆転する
- 関係人集会まであと10日。複数の債権者から「票をまとめる代わりに金を出す」という話が回り始めた。受ければ収賄、断っても証拠を残さなければ巻き込まれかねない。今のうちに打診を記録し、管財人か裁判所に報告する判断が要る
- 管財人が法律事務所(法人)で、その所属職員が業務に関して関係先から金を受け取った。3項により職員個人が処罰され、職務に関する不正なら4項で加重される。組織だからと個人責任が消えるわけではない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 管財人や他の関係人による不正な利益授受を疑ったら、日時・相手・金額・名目をメモと客観証拠(メール、LINE、振込記録)で保全する2. 更生手続を監督するのは裁判所、まず裁判所書記官または監督委員に書面で報告・申立てを行う3. 賄賂で歪められた更生計画には、関係人集会での異議や認可決定への即時抗告で対抗する4. 悪質なら刑事告発を検討、6項で賄賂は没収・追徴される
訴えられた側:1. 金銭や利益のやり取りが『職務に関する』ものか、純粋な正当報酬(管財人報酬は裁判所が定める)かを切り分ける2. 『不正の請託』の有無で刑が3年以下と5年以下に分かれる(1項対2項)、請託の事実関係を精査3. 接待・顧問料など名目があっても職務関連性があれば賄賂になりうる、安易な弁解は避け早期に弁護人を4. 士業の場合は刑事だけでなく懲戒(弁護士法・公認会計士法)も同時進行する前提で対応
時効(請求できる期限):公訴時効は法定刑による(刑事訴訟法250条2項)。1項・3項(3年以下の拘禁刑)は3年、2項・4項・5項(5年以下の拘禁刑)は5年で、原則として犯罪行為終了時から起算。賄賂の没収・追徴は有罪判決に付随する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:272条の収賄罪は刑法197条以下の公務員収賄罪の構造を民間の手続関係者に準用するものであり、賄賂該当性・職務関連性の判断枠組みも公務員収賄の判例理論を参照する。正当な管財人報酬(裁判所が定める)以外の利益授受が処罰の射程に入る。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年) 現行会社更生法(平成14年法律第154号)の全面改正・制定。旧会社更生法(昭和27年)の収賄罪規定を引き継ぎつつ、保全管理人・調査委員・法律顧問・法人管財人の役職員、議決権行使に関する収賄(5項)など処罰対象を整理した
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 懲役・禁錮を『拘禁刑』に統合する刑法等改正に伴い、本条の刑名を拘禁刑に改めた
改正の年表
- 1.昭和27年(1952年) 新設:旧会社更生法(昭和27年法律第172号)制定時に、米国の会社再建型倒産手続を範として管財人等の収賄処罰規定を導入。
- 2.平成14年(2002年) 改正:現行会社更生法(平成14年法律第154号)の全面改正・制定。保全管理人・調査委員・法律顧問・法人管財人の役職員、議決権行使に関する収賄(5項)など処罰対象を整理。
- 3.令和4年(2022年)公布・令和7年(2025年6月1日)施行 改正:懲役・禁錮を『拘禁刑』に統合する刑法等改正に伴い、本条の刑名を拘禁刑に改めた。
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