会社更生法 第275条(両罰規定)
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法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、第二百六十六条、第二百六十七条、第二百六十九条(第一項を除く。)、第二百七十条、第二百七十一条又は第二百七十三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
この条文の基本情報
両罰規定とは何ですか?
定義両罰規定とは、会社更生法第275条に定められた規定で、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、第二百六十六条、第二百六十七条、第二百六十九条(第一項を除く…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第275条(両罰規定)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第275条の条文原文は「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、第二百六十六条、第二百六十七条、第二百六十九条(第一項を除く…」で始まります。
- 会社更生法第275条は第十三章に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第275条の前の条は会社更生法第274条です。
- 会社更生法第275条の次の条は会社更生法第276条です。
- 会社更生法第275条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第275条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第275条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/275
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法275条は両罰規定を定め、従業者が詐欺更生罪等の違反をしたとき、行為者に加え法人にも罰金刑を科す。ただし法人は監督上の過失がない反証で罰金を免れうる。
Q · 従業員が更生手続中に不正をしたら、会社も罰金を払うんですか?
はい、両罰規定で法人にも罰金が科されます
会社更生法275条の両罰規定により、法人の代表者や従業者が業務に関して詐欺更生罪(266条)や特定債権者への担保供与罪(267条)等の違反行為をした場合、行為者本人を罰するだけでなく、その法人にも各本条の罰金刑が科されます。ただし判例上、これは無過失責任ではなく従業者の選任・監督上の過失の推定であり、会社が監督を尽くしていた証拠を示せば、法人の罰金は科されない余地があります。
解説
会社更生の渦中、現場の従業員が帳簿の外へ資産を逃がしたり、特定の債権者にこっそり担保を渡したりする。詐欺更生罪(266条)などに問われるのは、まずその行為者本人だ。だが会社更生法275条は、そこで話を止めない。行為者を罰した上で、その従業員を雇っていた法人にも罰金刑を科す。両罰規定(一つの違反で、行為者と会社の双方を罰する仕組み)によって、会社という箱そのものが被告席に座る。ここで多くの経営者が誤解する。会社の罰金は自動で確定すると思い込むのだ。実際は違う。判例上、会社の責任は従業員の選任・監督を怠った過失を前提とし、会社が監督を尽くしていた証拠を出せれば、その罰金は科されない。つまり275条は、あなたの会社のコンプライアンス体制が、そのまま法的な盾に変わる条文である。
法的な位置づけ
会社更生法275条は両罰規定であり、法人の代表者・代理人・使用人その他の従業者が、その法人の業務又は財産に関し詐欺更生罪等(266条・267条・269条等)の違反行為をした場合に、行為者の処罰に加えて当該法人にも各本条の罰金刑を科す旨を定める。判例は法人の責任を選任・監督上の過失の推定と解する。
よくある質問 AI による整理
Q1会社更生法275条の対象になる犯罪は何ですか?
詐欺更生罪(266条)、特定債権者への担保供与等の罪(267条)、269条(1項を除く)、270条、271条、273条の違反行為が対象です。これらの本犯が成立して初めて法人への両罰が問題になります。
Q2両罰規定で会社が罰金を免れることはできますか?
可能性があります。判例は法人の責任を選任・監督上の過失の推定と構成するため、会社が監督を尽くしていた客観証拠を示せば推定を覆し、罰金を免れる余地があります。
Q3両罰規定は無過失で会社を罰する制度ですか?
違います。最高裁判例は、法人を無条件に連帯処罰するのではなく、従業者の選任・監督上の過失を推定する制度と解しています。推定である以上、反証で覆せます。
Q4法人に科される罰金に前科はつきますか?
罰金は刑事罰であり、納付すれば法人にも処罰の記録が残ります。だからこそ起訴前段階で立件回避の交渉を行う実務上の意味があります。
Q5両罰規定の公訴時効は何年ですか?
罰金に当たる罪として原則3年(刑訴250条2項6号)とする見解と、本犯の法定刑を基準とする見解があり、実務上解釈が分かれます。起算点とあわせ個別確認が必要です。
Q6管財人の検査を拒否したら誰が罰せられますか?
検査拒否をした現場社員本人に加え、両罰規定により会社にも罰金が及び得ます。さらに更生計画の認可スケジュール全体を遅延させるリスクもあります。
Q7両罰規定は会社更生法以外の法律にもありますか?
あります。独占禁止法、金融商品取引法、労働安全衛生法、廃棄物処理法など、ほぼすべての行政取締法規に同じ構造の両罰規定が置かれています。
Q8両罰規定の『業務又は財産に関し』とはどこまでですか?
従業者が法人の業務遂行の一環として行った違反が対象で、純粋に私的な行為は含まれません。業務関連性が両罰の成否を分ける重要な境界です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1従業員が勝手にやったことなのに、なぜ会社が罰金を払うんですか?
275条の両罰規定が、行為者を罰するだけでなく、その従業員を雇う法人にも罰金を科すからです。ただしこれは無過失で会社を罰する制度ではありません。実務のポイント:判例(最高裁大法廷昭和32年11月27日)は、会社の責任を従業員の選任・監督を怠った過失の推定と構成しています。つまり会社が監督を尽くした証拠を出せば、罰金を免れる余地がある。多くの会社はこれを知らず、最初から罰金を受け入れてしまう
Q2会社の罰金と、社長や担当者個人の罰は別々に来るんですか?
別々です。275条は「行為者を罰するほか」会社にも罰金を科すと定め、行為者の処罰と法人の処罰を切り離しています。だから一つの事件で二つの被告人が並ぶことになります。実務のポイント:行為者個人と会社では防御の利益が食い違うことが多い。会社は『社員が独断で暴走した』と言いたいのに、それは社員個人を不利にする。同じ弁護士が両方を担当すると利益相反になりうるので、別々の弁護人を立てるのが実務の定石です
Q3うちは中小企業で立派なコンプラ部門なんてないんですが、それでも罰金を逃れられますか?
可能性はあります。求められるのは大企業並みの体制ではなく、会社の規模や業態に相応の、現実に機能した監督です。275条の前提は監督過失の推定なので、身の丈に合った監督を尽くした記録があれば反証になり得ます。実務のポイント:裁判所が見るのは立派な規程の有無ではなく、それが現場で実際に運用されていたかという実質です。形だけのマニュアルより、日々の指示やチェックの痕跡が残っている方が、はるかに強い反証になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「悪いことをしたのは従業員個人だから、会社は関係ない」と思い込む経営者は多い。実際は逆で、275条は会社法人そのものを罰金の対象へ引き込む。会社は他人事ではいられない
- 両罰規定の存在は知っていても、その本当の構造を知る人は少ない。これは無過失で会社を罰する制度ではなく、会社の監督上の過失を推定する制度だ。推定である以上、反証で覆せる。この一点を知るかどうかで、会社の防御戦略はまるで別物になる
- 「会社の罰金をどう減額するか」と考え始めた時点で、問いの立て方を誤っている可能性がある。減額ではなく、そもそも会社に監督過失がなかったと立証して罰金そのものを回避できる場面があるからだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 275条:両罰規定(行為者+法人の双方を処罰) | 266条:詐欺更生罪(本犯・行為者個人) 267条:特定債権者への担保供与等の罪(本犯) |
| 処罰される主体 | 違反した法人又は人(罰金刑のみ) | 簿外移転等を行った行為者個人 偏頗的に担保を供与した行為者個人 |
| 責任の性質 | 選任・監督上の過失の推定(反証で覆せる) | 行為者自身の故意による直接責任 行為者自身の故意による直接責任 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も個別法に両罰規定を置き、行為者と法人を併せて処罰する。法人の免責可否は各法の解釈による。
韓国の양벌규정は日本の両罰規定の影響が強く、構造が酷似する。憲法裁判所は無過失の連帯処罰部分を違憲とし、過失を前提とする運用が定着した。
ドイツは法人に刑事罰を科さず、秩序違反法上の過料(Geldbuße)と監督義務違反で対応する。刑事と行政の区分が日本と異なる。
米国は respondeat superior 法理により、従業員が職務の範囲内で会社の利益のため行った犯罪について法人の刑事責任を広く認める。過失推定という構成は採らない。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 経理部長が、更生手続の開始直前に役員の指示で在庫を簿外へ移した。詐欺更生罪に問われるのは部長と役員だが、275条により会社法人そのものにも罰金が科される。会社の弁護人は、行為者の弁護とは別に、会社の監督体制を立証する役回りを負うことになる
- もし管財人(裁判所が選ぶ、会社の業務と財産を引き継ぐ人)の検査に対し、現場社員が帳簿の提出を拒んだら、誰が罰せられる? 社員本人に加え、会社にも罰金が届く。しかも更生手続は時間との戦いで、検査拒否は更生計画の認可スケジュール全体を後ろへずらす
- 下請けへの支払いを装い、知人の債権者だけに担保を供与した(267条)。やったのは購買担当一人。だが罰金は、その担当者と会社の両方に届く
- あなたが更生会社の取引先で、相手社員の不正に巻き込まれかけている。相手の会社が両罰規定で罰金を受ければ、その会社の信用と更生計画の行方に直結し、あなた自身の債権回収の見込みまで揺らぐ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 行為者を特定し、その行為が266条から273条のどれに当たるかを整理する2. 並行して、会社が当該従業員の選任・監督に過失がなかったことを示す資料(研修記録、内部規程、監査記録、指揮命令系統)を時系列で収集する3. 行為者個人の弁護と会社の弁護は利益が相反しうるため、別々の弁護人を立てることを検討する4. 不正を発見した経緯と是正措置を記録化し、会社の監督義務を尽くした事実を裏づける
訴えられた側:1. 会社の責任は無過失責任ではなく監督過失の推定だと押さえる2. 反証の柱として、事件前から機能していたコンプライアンス体制の客観証拠を提出する3. 行為者が会社の指示や黙認ではなく独断で動いたことを示せれば、監督過失の推定を弱められる4. 罰金は刑事罰であり、納付すれば法人にも処罰の記録が残るため、起訴前段階での立件回避交渉を最優先にする
時効(請求できる期限):両罰規定により法人へ科されるのは罰金刑であり、公訴時効は原則として罰金に当たる罪の3年(刑事訴訟法250条2項6号)。ただし対象となる本犯(266条等)の法定刑を基準とすべきとの見解もあり、実務上、解釈が分かれている。具体的事案では起算点(犯罪行為の終了時)とあわせて確認を要する
学説
過失推定説(判例・通説):両罰規定による法人の責任は無過失責任ではなく、従業者の選任・監督上の過失が推定されるもので、法人は反証によりこれを覆して罰金を免れうるとする立場。最高裁大法廷昭和32年判決が採用し、実務の前提となっている。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年)全部改正 現行会社更生法(平成14年法律第154号、2003年施行)は旧法を全面的に置き換えて成立し、本条の両罰規定もこの新法の罰則体系の一部として整備された。ただし、この条文番号における個別の改正履歴と『新設』『改正』の区別は人的検証を要する
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:現行会社更生法(平成14年法律第154号、2003年施行)の全部改正により旧法を置き換えて成立し、本条の両罰規定も新法の罰則体系の一部として整備された。条文番号ごとの個別改正履歴は人的検証を要する。
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