会社更生法 第82条(任務終了の場合の報告義務等)
クイックジャンプ
- 管財人の任務が終了した場合には、管財人は、遅滞なく、裁判所に計算の報告をしなければならない。
- 2.前項の場合において、管財人が欠けたときは、同項の計算の報告は、同項の規定にかかわらず、後任の管財人がしなければならない。
- 3.管財人の任務が終了した場合において、急迫の事情があるときは、管財人又はその承継人は、後任の管財人又は更生会社が財産を管理することができるに至るまで必要な処分をしなければならない。
- 4.第二百三十四条第二号から第四号までに掲げる事由のいずれかが生じた場合には、第二百五十四条第六項又は第二百五十七条に規定する場合を除き、管財人は、共益債権を弁済しなければならない。ただし、その存否又は額について争いのある共益債権については、その債権を有する者のために供託をしなければならない。
この条文の基本情報
任務終了の場合の報告義務等とは何ですか?
定義任務終了の場合の報告義務等とは、会社更生法第82条に定められた規定で、「管財人の任務が終了した場合には、管財人は、遅滞なく、裁判所に計算の報告をしなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第82条(任務終了の場合の報告義務等)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第82条の条文原文は「管財人の任務が終了した場合には、管財人は、遅滞なく、裁判所に計算の報告をしなければならない。」で始まります。
- 会社更生法第82条は第二款に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第82条の前の条は会社更生法第81条です。
- 会社更生法第82条の次の条は会社更生法第83条です。
- 会社更生法第82条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第82条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第82条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/82
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法82条は、管財人の任務が終了したとき、遅滞なく裁判所へ計算を報告し、手続終了時には共益債権を弁済すべきことを定める。
Q · 取引先が会社更生したあと納めた代金は、手続が失敗しても払ってもらえるの?
管財人は計算報告と共益債権の弁済義務を負います
会社更生法82条4項により、更生手続が廃止・不認可・終結(234条2号〜4号)で終わった場合でも、管財人は共益債権を弁済しなければなりません。手続開始後に手続遂行のため生じた取引代金や給料は共益債権に当たり(127条)、更生計画とは別枠で優先的に支払われます。存否や額に争いがある債権については、管財人が供託する義務を負うため、手続終了で資金が散逸して取り分が消える事態を防げます。また管財人は任務終了時に遅滞なく裁判所へ計算を報告し、急迫の事情があれば後任が管理できるまで処分を続けます。
解説
取引先が会社更生手続に入った。あなたは「もう代金は回収できない」と諦めかけるかもしれない。だが、手続が始まった後にあなたがその会社へ納品した分は、扱いがまるで違う。会社更生法82条4項は、更生手続が廃止・不認可・終結という形で終わったとき、管財人に共益債権を弁済する義務を課す。共益債権とは、手続開始後に手続遂行のため生じた債権、つまり手続中の取引代金や従業員の給料などだ。これらは更生計画とは別枠で、優先的に支払われる。しかも、その存否や額に争いがあっても、管財人は供託しなければならず、あなたの取り分が宙に浮いて消えることはない。さらに同条は、管財人が任務を終えるとき裁判所への計算報告を義務づけ、急迫の事情があれば後任が動けるようになるまで必要な処分を継続させる。預かった財産を「辞めたから」と放り出すことを許さない仕組みである。
法的な位置づけ
会社更生法82条は、管財人の任務終了に伴う義務を定める規定であり、任務終了時の計算報告義務、急迫の事情がある場合の処分継続義務、および手続終了時における共益債権の弁済・供託義務を規律する。財産管理の連続性と手続関係者の保護を確保することを目的とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.債権を手続開始日の前後で仕分けする 納品日・役務提供日を基準に、自分の債権が更生手続開始の前か後かを仕分ける。開始後に手続遂行のため生じた分は共益債権の可能性が高い(会社更生法127条)。請求書・納品書・契約書を時系列で整理する
- 2.共益債権として随時弁済を請求する 共益債権に当たると判断したら、管財人に対し更生計画とは別枠での随時弁済を求める(132条)。一般更生債権として処理される前にこの主張を入れることで回収順位が一段上がる
- 3.争いがあるなら供託を求める 存否や額に争いがある場合、82条4項ただし書を根拠に管財人へ供託を求める。手続終了で資金が散逸する前に供託させれば、争いが続いても自分の取り分が固定される
- 4.手続終結前に債権の性質を書面で明示する 手続が廃止・不認可・終結へ向かう兆候があれば、終結前に書面で自分の債権が共益債権である旨と根拠条文を管財人へ明示しておく。後の立証を容易にする
よくある質問 AI による整理
Q1共益債権とは何ですか?
更生手続開始後に手続遂行のため生じた債権で、手続中の取引代金や従業員の給料などが該当します(会社更生法127条)。更生計画とは別枠で優先弁済されます。
Q2会社更生手続中に納品した代金は優先されますか?
手続開始後に生じた分は共益債権として優先弁済の対象になります。手続開始日の前に生じた売掛金は一般の更生債権として扱われ、大幅にカットされ得ます。
Q3管財人の計算報告はいつまでに必要ですか?
会社更生法82条1項により「遅滞なく」裁判所へ報告する必要があります。具体的期限の数値はなく、任務終了後すみやかに帳簿・残高を整理して提出します。
Q4更生手続が廃止されても共益債権は払われますか?
払われます。82条4項が廃止・不認可・終結(234条2号〜4号)の場合に管財人の弁済義務を課します。手続が失敗した局面でこそ効くのが共益債権の強みです。
Q5共益債権と更生債権の違いは何ですか?
更生債権は手続開始前の原因に基づく債権で更生計画で減免されます。共益債権は手続開始後に生じ、計画と別枠で随時・優先弁済される点が決定的に異なります。
Q6急迫処分義務とは何ですか?
管財人の任務が終了しても急迫の事情があるときは、後任の管財人や更生会社が財産を管理できるまで必要な処分を続ける義務です(82条3項)。承継人にも及びます。
Q7管財人が欠けたら誰が計算報告をしますか?
後任の管財人が計算報告をします(82条2項)。管財人の死亡などで欠けても手続は止まらず、後任が引き継いで報告と管理を行う設計になっています。
Q8共益債権に争いがある場合はどうなりますか?
存否や額に争いがある共益債権について、管財人はその債権者のために供託をしなければなりません(82条4項ただし書)。供託金は手続が終わっても消えません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取引先が会社更生したら、手続中に納めた商品の代金は戻ってこないんですか?
手続開始後に手続遂行のため生じた債権なら、共益債権として更生計画とは別枠で優先弁済されます(会社更生法127条、132条)。しかも更生が廃止・不認可・終結で打ち切られても、82条4項で管財人に弁済義務が残ります。実務のポイント:肝心なのは「いつの債権か」。手続開始日の前の売掛金は一般の更生債権で大幅カットされ得ますが、開始日の後の取引は共益債権になり扱いが段違いです。倒産しかけの取引先と続けるか切るかは、この線引きを知ってから決める
Q2管財人が途中で交代したり亡くなったりしたら、手続は止まりますか?
止まりません。管財人が欠けたときは後任の管財人が計算報告をし(82条2項)、急迫の事情があれば管財人やその承継人が、後任や更生会社が管理できるようになるまで必要な処分を続けます(3項)。管理に空白を作らない設計です。実務のポイント:承継人(相続人など)にまで急迫処分義務が及ぶ点は見落とされがち。財産管理を担う立場は、本人が抜けても後始末の責任が連鎖する。だからこそ管財人候補は資力と体制を裁判所に厳しく見られる
間違えやすい点 AI による整理
- 共益債権という言葉は知っていても、その本当の強さを知らない人が多い。これは更生計画がうまくいったときだけ払われるのではない。むしろ手続が廃止・不認可・終結で「失敗」した局面でこそ、82条4項が管財人に弁済義務を課す。一番危ない場面で効くのが、この債権の真価だ
- 「管財人が辞めたら、預けた財産はどうなるのか」という問いの立て方そのものが、半分ずれている。辞めても任務がそこで切れるわけではない。計算報告義務と急迫処分義務が残り、後任や更生会社が管理を引き継げるまで、責任は連続する。問うべきは「いつ、誰に引き継がれるか」である
- あなたから見れば、ただの売掛金。だが法律から見れば、手続開始日を境に同じ取引先への債権が「一般の更生債権」と「共益債権」に割れている。この落差を知らないまま回収順位を読み違えると、本来優先される分まで一般債権の列に並ばせてしまう
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 82条:任務終了時の計算報告・急迫処分・共益債権の弁済/供託 | 80条:管財人の善管注意義務(任務遂行中) 81条:義務違反による更生会社への損害賠償責任 |
| 効力が生じる時点 | 管財人の任務終了時・手続終了時 | 任務の遂行中(在任中) 義務違反があったとき |
| 機能 | 後始末と財産管理の連続性・関係者保護の確保 | 適正な職務遂行の確保 違反に対するサンクション(責任追及) |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾の会社更生(重整)でも重整債務が優先受償の対象とされ、重整人には報告義務が課される。共益債権に近い優先弁済の発想を共有する
ドイツでは倒産管財人に Rechnungslegung(計算報告)義務が課され、Masseverbindlichkeiten(財団債権)が優先弁済される。本条の計算報告・共益債権弁済と機能的に対応する
米国 Chapter 11でも trustee に final report 義務、administrative expenses に優先弁済が認められる。日本の会社更生は同制度を母法とする
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの会社が、会社更生手続中の元請けに資材を納め続けてきた。ところが更生計画が不認可になり手続が打ち切られた。一般の更生債権者がほとんど回収できない中、手続開始後に納めた分は共益債権として、管財人が優先的に弁済する。切らずに取引を続けた判断が、ここで報われる
- もし、あなたが管財人で、健康上の理由で任務を続けられなくなったら、どうなる? ただ辞めるだけでは済まない。82条1項により遅滞なく裁判所へ計算の報告をし、急迫の事情があれば、後任の管財人や更生会社が財産を管理できるようになるまで必要な処分を続けねばならない。任務終了は、責任放棄の合図ではない
- 管財人が急逝した。手続は止まるのか。止まらない。2項により後任の管財人が計算報告を引き継ぎ、3項で承継人が急迫の処分をつなぐ。管理に空白を作らない設計だ
- 更生会社の従業員として手続中も働き続けたあなた。未払いの給料が共益債権に当たれば、手続が頓挫しても管財人が弁済する側に回る。あと数週間で手続終結、自分の給料債権がどの枠に入るかを、今すぐ確認すべき場面である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分の債権が手続開始の前か後かを納品日・役務提供日で仕分けする。開始後に手続遂行のため生じた分は共益債権の可能性が高い(127条) 2. 共益債権なら、管財人に対し更生計画と別枠での随時弁済を求める(132条) 3. 存否や額に争いがあるなら、82条4項ただし書を根拠に供託を求め、資金散逸前に取り分を固定する4. 手続が廃止・不認可・終結へ向かう兆候があれば、終結前に書面で債権の性質を明示しておく
訴えられた側:1. 任務終了が決まったら、遅滞なく裁判所へ計算の報告を準備する(82条1項)。帳簿・残高・未処理事項を整理2. 後任が決まらない、または欠けた状況では、急迫の事情の有無を見極め、必要な処分は止めずに続ける(3項)。放置による損害は81条の責任に直結する3. 234条2号から4号の事由が生じた場合、254条6項・257条の例外を除き共益債権を弁済し、争いある債権は供託する(4項) 4. 引継ぎは後任管財人または更生会社が管理できる状態になるまで継続する
時効(請求できる期限):計算の報告は「遅滞なく」(82条1項)。急迫処分の義務は、後任の管財人または更生会社が財産を管理できるに至るまで継続する(3項)。本条自体に固有の時効はないが、弁済すべき共益債権そのものには一般消滅時効(民法166条、債権は権利行使できると知った時から5年または権利行使できる時から10年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:82条の計算報告義務・急迫処分義務は、委任における受任者の報告義務(民法645条)・委任終了後の急迫処分義務(民法654条)と同型の法理に立つと解される。任務終了をもって責任が断絶せず、引継ぎ完了まで連続するという点に本条の核心がある。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年)全部改正(要検証) 現行会社更生法(平成14年法律第154号、2003年施行)は昭和27年の旧法を全部改正したもので、本条はこの新法の中で整備された。ただし、その後の個別改正の有無について確証がないため人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 新設:現行会社更生法(平成14年法律第154号、2003年施行)として旧会社更生法(昭和27年)を全部改正。本条はこの新法のなかで管財人の任務終了時の義務として整備された。その後の個別改正の有無については人的検証を要する
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める