(基本原則)
捕虜収容所長は、捕虜収容所の適正な管理運営を図り、被収容者(抑留令書により捕虜収容所に収容されている捕虜、衛生要員、宗教要員、区別義務違反者、間諜及び傭兵並びに仮収容令書により捕虜収容所に収容されている者(以下「仮収容者」という。)をいう。以下同じ。)の人権を尊重しつつ、被収容者の抑留資格、階級等、性別及び年齢、その属する国における風俗慣習及び生活様式等に応じた適切な処遇を行うものとする。
2被収容者には、捕虜収容所の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障がない範囲内において、できる限りの自由が与えられなければならない。
(利益保護国等への配慮)
捕虜収容所長は、利益保護国代表並びに指定赤十字国際機関(赤十字国際機関であって政令で定めるものをいう。以下同じ。)及び指定援助団体(防衛大臣が指定する被収容者への援助を目的とする団体をいう。以下同じ。)の代表が第三条約及び第一追加議定書の規定により遂行するそれらの任務を尊重し、その遂行に支障が生じないよう特に配慮しなければならない。
(階級等の区分)
捕虜収容所長は、被収容者(仮収容者を除く。)について、その階級等に応じた適切な処遇を行うため、防衛大臣の定める階級等の基準に従い、将校、准士官、下士官及び兵の区分を指定するものとする。
(収容開始時の告知)
捕虜収容所長は、被収容者に対し、その収容の開始に際し、次に掲げる事項を告知するものとする。
一保健衛生及び医療に関する事項
二宗教に関する事項
三第四十四条第一項に規定する遵守事項
四懲戒処分に関する事項
五物品の貸与等及び自弁に関する事項
六書籍等の閲覧に関する事項
七面会及び信書の発受に関する事項
八苦情の申出に関する事項
2前項の規定による告知は、防衛省令で定めるところにより、書面で行う。
(写真撮影・指紋の採取)
捕虜収容所長は、被収容者につき、その収容の開始に際し、防衛省令で定めるところにより、その者の識別のため必要な限度で、写真の撮影、指紋の採取その他の措置をとるものとする。その後必要が生じたときも、同様とする。
(保健衛生及び医療の原則)
捕虜収容所においては、被収容者の心身の状況を把握することに努め、被収容者の健康及び捕虜収容所内の衛生を保持するため適切な保健衛生上又は医療上の措置を講ずるものとする。
(被収容者の清潔義務)
被収容者は、身体、着衣及び所持品並びに居住区画(被収容者が主として休息及び就寝のために使用する場所として捕虜収容所長が指定した区画をいう。第四十五条において同じ。)その他日常使用する場所を清潔にしなければならない。
(健康診断)
捕虜収容所においては、収容の開始後速やかに、及び毎月一回以上定期的に、被収容者の健康診断を行うものとする。捕虜収容所における保健衛生上必要があるときも、同様とする。
2被収容者は、前項の規定による健康診断を受けなければならない。この場合においては、その健康診断の実施のため必要な限度内における採血、エックス線撮影その他の医学的処置を拒むことはできない。
(医療)
捕虜収容所長は、被収容者が負傷し、若しくは疾病にかかった場合又はこれらの疑いがある場合には、速やかに、防衛省令で定めるところにより、診療その他必要な措置を講ずるものとする。
2捕虜収容所長は、前項に規定する措置を講ずるに当たっては、その措置を受ける被収容者の意思を十分に尊重するとともに、被収容者がその属する国の衛生要員による診療を受けることができるよう配慮しなければならない。
3捕虜収容所長は、被収容者が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第十二条第一項各号に掲げる者に該当すると認めるときは、防衛大臣の定めるところにより、当該被収容者の隔離、入院その他の必要な措置を講ずるものとする。
(医師相当衛生要員等)
捕虜及び衛生要員のうち、捕虜収容所長が外国において医師に相当する資格を有する者と認めたもの(以下「医師相当衛生要員等」という。)は、医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十七条の規定にかかわらず、自衛隊病院等(自衛隊法第二十七条に規定する病院その他防衛省令で定める自衛隊の病院又は診療所をいう。以下同じ。)において、被収容者に対し、医業をすることができる。
2医師法第十九条、第二十条及び第二十三条から第二十四条の二までの規定は、医師相当衛生要員等について準用する。
3第一項の規定により医業をする場合における医師相当衛生要員等は、医師とみなして、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第六条及び第三十七条、歯科衛生士法(昭和二十三年法律第二百四号)第十三条の三、診療放射線技師法(昭和二十六年法律第二百二十六号)第二条第二項、第二十四条の二、第二十六条及び第二十八条第一項、臨床検査技師等に関する法律(昭和三十三年法律第七十六号)第二条及び第二十条の二、薬剤師法(昭和三十五年法律第百四十六号)第十九条及び第二十二条から第二十四条まで並びに臨床工学技士法(昭和六十二年法律第六十号)第二条第二項、第三十七条第一項及び第三十八条の規定を適用する。
(歯科医師相当衛生要員等)
捕虜及び衛生要員のうち、捕虜収容所長が外国において歯科医師に相当する資格を有する者と認めたもの(以下「歯科医師相当衛生要員等」という。)は、歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二号)第十七条の規定にかかわらず、自衛隊病院等において、被収容者に対し、歯科医業をすることができる。
2歯科医師法第十九条、第二十条及び第二十二条から第二十三条の二までの規定は、歯科医師相当衛生要員等について準用する。
3第一項の規定により歯科医業をする場合における歯科医師相当衛生要員等は、歯科医師とみなして、保健師助産師看護師法第六条及び第三十七条、歯科衛生士法第二条第一項、第十三条の二及び第十三条の三、診療放射線技師法第二条第二項、第二十四条の二、第二十六条及び第二十八条第一項、歯科技工士法(昭和三十年法律第百六十八号)第二条第一項ただし書及び第十八条ただし書、臨床検査技師等に関する法律第二条及び第二十条の二並びに薬剤師法第十九条及び第二十二条から第二十四条までの規定を適用する。
(薬剤師相当衛生要員等)
捕虜及び衛生要員のうち、捕虜収容所長が外国において薬剤師に相当する資格を有する者と認めたもの(以下「薬剤師相当衛生要員等」という。)は、薬剤師法第十九条の規定にかかわらず、自衛隊病院等において、被収容者に対し、授与の目的で調剤することができる。
2薬剤師法第二十一条から第二十六条までの規定は、薬剤師相当衛生要員等について準用する。この場合において、同法第二十二条ただし書中「医師若しくは歯科医師」とあるのは「医師、歯科医師、医師相当衛生要員等若しくは歯科医師相当衛生要員等」と、同法第二十三条及び第二十四条中「医師、歯科医師又は獣医師」とあるのは「医師、歯科医師、医師相当衛生要員等又は歯科医師相当衛生要員等」と読み替えるものとする。
(看護師相当衛生要員等)
捕虜及び衛生要員のうち、捕虜収容所長が外国において看護師に相当する資格を有する者と認めたもの(以下「看護師相当衛生要員等」という。)は、保健師助産師看護師法第三十一条第一項の規定にかかわらず、自衛隊病院等において、被収容者に対し、同法第五条に規定する業をすることができる。
2保健師助産師看護師法第三十七条の規定は、看護師相当衛生要員等について準用する。この場合において、同条中「主治の医師又は歯科医師」とあるのは、「主治の医師、歯科医師、医師相当衛生要員等又は歯科医師相当衛生要員等」と読み替えるものとする。
3第一項の規定により保健師助産師看護師法第五条に規定する業をする場合における看護師相当衛生要員等は、看護師とみなして、同法第六条の規定を適用する。
(准看護師相当衛生要員等)
捕虜及び衛生要員のうち、捕虜収容所長が外国において准看護師に相当する資格を有する者と認めたもの(以下「准看護師相当衛生要員等」という。)は、保健師助産師看護師法第三十二条の規定にかかわらず、自衛隊病院等において、被収容者に対し、医師、歯科医師、看護師、医師相当衛生要員等、歯科医師相当衛生要員等又は看護師相当衛生要員等の指示を受けて、同法第六条に規定する業をすることができる。
2保健師助産師看護師法第三十七条の規定は、准看護師相当衛生要員等について準用する。この場合において、同条中「主治の医師又は歯科医師」とあるのは、「主治の医師、歯科医師、医師相当衛生要員等又は歯科医師相当衛生要員等」と読み替えるものとする。
(秘密を守る義務)
医師相当衛生要員等、歯科医師相当衛生要員等、薬剤師相当衛生要員等、看護師相当衛生要員等又は准看護師相当衛生要員等は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。医師相当衛生要員等、歯科医師相当衛生要員等、薬剤師相当衛生要員等、看護師相当衛生要員等又は准看護師相当衛生要員等でなくなった後においても、同様とする。
(管理者の任務)
自衛隊病院等の管理者は、当該自衛隊病院等において医療に関する業務に従事する医師相当衛生要員等、歯科医師相当衛生要員等、薬剤師相当衛生要員等、看護師相当衛生要員等、准看護師相当衛生要員等その他の衛生要員及び第六十八条の規定により第六十四条第三号に掲げる業務に従事することを許された捕虜の業務遂行に欠けるところのないよう、必要な注意をしなければならない。
(自ら行う宗教上の行為)
捕虜収容所内において被収容者が自ら個別に行う礼拝その他の宗教上の行為は、これを禁止し、又は制限してはならない。ただし、捕虜収容所の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合は、この限りでない。
(宗教上の儀式行事)
捕虜収容所長は、捕虜収容所内において被収容者が希望する場合には、宗教要員その他の宗教家の行う説教、礼拝その他の宗教上の儀式行事に参加することができる機会を設けるように努めなければならない。
2捕虜収容所長は、捕虜収容所の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合には、被収容者を前項に規定する宗教上の儀式行事に参加させないことができる。
(宗教要員等の行為)
宗教要員等(宗教要員及び第六十九条の規定により第六十四条第四号に掲げる業務に従事することを許された捕虜をいう。第八十四条第三項において同じ。)は、捕虜収容所内において、被収容者の行う第四十条に規定する宗教上の行為を補助し、又は前条第一項に規定する宗教上の儀式行事を行うことができる。
(捕虜収容所の規律及び秩序)
捕虜収容所の規律及び秩序は、厳正に維持されなければならない。
2前項の目的を達成するためこの章の規定によりとる措置は、被収容者の収容を確保し、並びにその処遇のための適切な環境及びその安全かつ平穏な共同生活を維持するため必要な限度を超えてはならない。
(遵守事項等)
捕虜収容所長は、捕虜収容所内の規律及び秩序を維持するため必要な被収容者の遵守すべき事項(以下「遵守事項」という。)を定めるものとする。
2前項の規定により定められるもののほか、捕虜収容所長又はその指定する職員は、捕虜収容所の規律及び秩序を維持するため必要があるときは、被収容者に対し、その生活及び行動について指示することができる。
(身体の検査等)
捕虜収容所長の指定する自衛官は、捕虜収容所の規律及び秩序を維持するため必要があるときは、被収容者の身体、着衣、所持品及び居住区画を検査し、並びに被収容者の所持品を取り上げて一時保管することができる。ただし、女性の被収容者の身体及び着衣を検査する場合には、捕虜収容所長の指定する女性の自衛官が行わなければならない。
(制止等の措置)
捕虜収容所に勤務する自衛官は、被収容者が逃走し、自己若しくは他人に危害を与え、捕虜収容所の職員の職務の執行を妨げ、その他捕虜収容所の規律及び秩序を著しく害する行為をし、又はこれらの行為をしようとするときは、合理的に必要と判断される限度で、その行為を制止し、当該被収容者を拘束し、その他その行為を抑止するため必要な措置をとることができる。
(用具の使用)
捕虜収容所に勤務する自衛官は、前条の規定による措置をとる場合又は被収容者を護送する場合には、防衛大臣の定めるところにより、手錠その他の防衛省令で定める用具を使用することができる。
(懲戒処分)
懲戒権者(捕虜収容所長又は捕虜収容所に勤務する幹部自衛官(防衛省設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第十五条第一項に規定する幹部自衛官をいう。)であって政令で定める者をいう。以下同じ。)は、被収容者が次の各号のいずれかの行為をしたときは、当該被収容者に対し、懲戒処分を行うことができる。
一逃走すること(第三条約第九十一条第一項(1)から(3)までのいずれかに該当するものを除く。)又は逃走しようとすること。
二自己又は他人に危害を与えること、捕虜収容所の職員の職務の執行を妨げること、遵守事項を遵守しないことその他の抑留業務の円滑な実施を妨げること。
三信書の発信その他の方法により我が国の防衛上支障のある通信を試みることその他の武力攻撃又は存立危機武力攻撃に資する行為を行うこと。
四前三号に掲げる行為を準備し、共謀し、あおり、唆し、又は援助すること。
(懲戒処分の種類)
懲戒処分の種類は、次のとおりとする。
一第七十四条の規定により給付金計算高に加算すべき捕虜等抑留給付金の二分の一以内の削減
二一日につき二時間以内の防衛省令で定める業務への従事
三他の被収容者から分離して行う拘禁
2懲戒処分を行う期間は、三十日以内とする。前条各号に掲げる行為(以下「反則行為」という。)に該当する二以上の行為に対して同時に懲戒処分を行うときも、同様とする。
3懲戒処分は、同一の行為につき、二種類以上を併せて行ってはならない。
4第一項第二号に掲げる懲戒処分は、被収容者(仮収容者を除く。)のうち、下士官又は兵として指定された者に対してのみこれを行うことができる。
5第一項第二号に掲げる懲戒処分において従事した業務については、第七十四条の規定による業務従事報奨金の加算はしない。
6第一項第三号に掲げる懲戒処分においては、防衛省令で定めるところにより、懲戒権者が指定する階級等及び性別ごとに分離した区画において拘禁する。この場合において、当該懲戒処分を受ける者から、次に掲げる行為の求めがあったときは、これを許さなければならない。
一苦情の申出及び請願をすること。
二利益保護国代表及び捕虜代表と連絡をとること。
三一日につき二時間を下回らない防衛大臣が定める範囲内で希望する時間の戸外における運動をすること。
四書籍等の閲覧をすること。
五第十節第二款の規定により信書を発受すること。
7女性の被収容者に対し第一項第三号に掲げる懲戒処分を行うときは、当該被収容者を男性の捕虜収容所の職員のみの監視の下に置いてはならない。
(懲戒処分の基準)
懲戒処分を行うに当たっては、反則行為をした被収容者の年齢、心身の状態及び行状、反則行為の性質、軽重、動機及び捕虜収容所の運営に及ぼした影響、反則行為後における当該被収容者の態度その他の事情を考慮しなければならない。
(懲戒処分を行う手続等)
懲戒権者は、被収容者が反則行為をした疑いがあると思料するときは、反則行為の有無及び前条の規定により考慮すべき事情について、できる限り速やかに調査を行わなければならない。
2前項の調査のため必要があるときは、防衛省令で定めるところにより、反則行為をした疑いのある被収容者を他の被収容者から隔離することができる。この場合において、当該被収容者を隔離する期間は、十四日を超えてはならない。
3懲戒処分を行うときは、あらかじめ、反則行為をした疑いのある被収容者に事実の要旨を告げた上、弁解の機会を与えなければならない。この場合において、当該被収容者は、通訳人による通訳を求めることができる。
4前項の事実を告げられた被収容者は、必要な参考人の陳述を求めることができる。
5懲戒権者は、被収容者に懲戒処分を行うことを決定したときは、防衛省令で定めるところにより、当該被収容者及び捕虜代表に対し、その旨及び当該懲戒処分の内容を通知しなければならない。
6捕虜収容所長は、防衛省令で定めるところにより、懲戒処分に係る記録を作成し、及び保存しなければならない。
7捕虜収容所長は、懲戒処分を受けた被収容者、利益保護国代表その他防衛省令で定める者から前項の記録の閲覧を求められたときは、これを許可しなければならない。
(懲戒処分の執行)
懲戒処分の執行は、捕虜収容所内において行わなければならない。
2懲戒処分の執行は、前条第五項の規定による通知の時から一月を経過したときは、これを開始してはならない。
3懲戒処分の執行は、直近の懲戒処分の執行が終了した後三日以内は、これをすることはできない。ただし、当該懲戒処分の期間及び当該直近の懲戒処分の期間がいずれも十日に満たないときは、この限りでない。
(懲戒処分の不執行等)
懲戒権者は、懲戒処分の通知を受けた被収容者について、その通知の後における当該被収容者の態度その他の事情を考慮し、相当の理由があると認めるときは、当該懲戒処分の全部又は一部の執行をしないことができる。
(懲戒処分執行後の監視)
捕虜収容所長は、第四十八条第一号に掲げる行為をしたことを理由に懲戒処分を受けた被収容者については、当該懲戒処分の執行が終了した後、これを防衛省令で定める監視の下に置くことができる。
(防衛省令への委任)
この款に定めるもののほか、懲戒処分に関する手続に関し必要な事項は、防衛省令で定める。
(捕虜代表及び捕虜代表補助者の指名)
捕虜収容所長は、防衛大臣の定めるところにより、捕虜代表及び捕虜代表を補佐する者(以下「捕虜代表補助者」という。)を指名するものとする。
(便益の提供)
捕虜収容所長は、抑留業務の円滑な実施を妨げない範囲内において、捕虜代表及び捕虜代表補助者に対し、これらの任務を遂行するために必要な便益を与えなければならない。
(物品の貸与等の原則)
被収容者には、捕虜収容所における日常生活のために必要な衣類及び寝具を貸与し、並びに食事及び湯茶を支給する。
2被収容者には、前項に定めるもののほか、日用品、筆記具その他の捕虜収容所における日常生活のために必要な物品を貸与し、又は支給することができる。
3前二項の規定により貸与し、又は支給される物品は、被収容者の健康を保持するに足り、かつ、国民生活の実情等を勘案し、被収容者としての地位に照らして、適当と認められるものでなければならない。
(自弁の物品の使用等)
捕虜収容所長は、被収容者が、次に掲げる物品で防衛省令で定める品目のものについて、自弁のものを使用し、又は摂取することを申請した場合には、捕虜収容所の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障がない限り、これを許すものとする。
一衣類及び寝具
二食料品及び飲料
三日用品、文房具その他の捕虜収容所における日常生活に用いる物品
四し好品
五その他防衛省令で定める物品
(書籍の閲覧の機会及び時事の報道に接する機会)
捕虜収容所長は、捕虜収容所の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障がない限り、被収容者に対し、書籍の閲覧の機会及び時事の報道に接する機会を与えるよう努めなければならない。
(日課)
捕虜収容所長は、防衛省令で定める基準に従い、捕虜収容所における日課を定め、これを被収容者に告知するものとする。
(活動等への援助)
捕虜収容所長は、防衛省令で定めるところにより、被収容者に対し、知的、教育的及び娯楽的活動、運動競技その他の活動について、援助を与えるものとする。
2捕虜収容所長は、防衛省令で定めるところにより、被収容者のうち、将校、准士官又は下士官として指定された者に対し、自己契約作業(これらの者が捕虜収容所の外部の者との請負契約により行う物品の製作その他の作業をいう。)について、援助を与えるものとする。
(防衛省令への委任)
この節に定めるもののほか、被収容者の処遇に関し必要な事項は、防衛省令で定める。
(業務の種類)
捕虜収容所長は、次に掲げる業務を捕虜に行わせることができる。
一捕虜収容所の維持運営に関する業務
二通訳又は翻訳の業務
三被収容者に対する医療に関する業務
四被収容者の宗教上の行為の補助その他の宗教活動に関する業務
(将校及び准士官の業務)
捕虜収容所長は、将校及び准士官として指定された捕虜に、その希望により、前条第一号又は第二号に掲げる業務に従事することを許すことができる。
(下士官の業務)
捕虜収容所長は、下士官として指定された捕虜に、第六十四条第一号に掲げる業務(監督者として行うものに限る。)に従事させることができる。
2捕虜収容所長は、下士官として指定された捕虜に、その希望により、第六十四条第一号又は第二号に掲げる業務に従事することを許すことができる。
(兵の業務)
捕虜収容所長は、兵として指定された捕虜に、第六十四条第一号に掲げる業務に従事させることができる。
2捕虜収容所長は、兵として指定された捕虜に、その希望により、第六十四条第二号に掲げる業務に従事することを許すことができる。
(医療に関する業務)
捕虜収容所長は、捕虜に、その希望により、第六十四条第三号に掲げる業務に従事することを許すことができる。
(宗教上の行為の補助等に関する業務)
祷祀
(業務の実施)
捕虜の業務は、できる限り、その年齢、性別、階級等、身体的適性及び健康状態その他の事情を考慮した上、実施するものとする。
(業務の条件)
捕虜収容所長は、業務を行う捕虜の安全及び衛生を確保するため必要な措置を講じなければならない。
2捕虜は、捕虜収容所長が前項の規定に基づき講ずる措置に応じて、必要な事項を守らなければならない。
3第一項の規定により捕虜収容所長が講ずべき措置及び前項の規定により捕虜が守らなければならない事項は、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)その他の法令に定める労働者の安全及び衛生を確保するため事業者が講ずべき措置及び労働者が守らなければならない事項の例により、防衛大臣が定める。
(防衛省令への委任)
この節に定めるもののほか、業務の方法その他業務の実施に関し必要な事項は、防衛省令で定める。
(捕虜等抑留給付金)
捕虜収容所における捕虜、衛生要員及び宗教要員(以下この節において「給付対象捕虜等」という。)に対しては、捕虜等抑留給付金として、この節に定めるところにより、基礎的給付金(第三条約第六十条に規定する俸給の前払に相当するものをいう。以下同じ。)及び業務従事報奨金(前節の規定により従事した業務に対応する給付金をいう。以下同じ。)を支給するものとする。
2捕虜収容所長は、防衛省令で定めるところにより、給付金台帳を作成し、給付対象捕虜等ごとに捕虜等抑留給付金の計算高(以下この節において「給付金計算高」という。)を記録して、これを管理しなければならない。
(捕虜等抑留給付金の額及び加算)
給付金計算高に加算すべき捕虜等抑留給付金の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額とする。
一基礎的給付金1給付対象捕虜等の階級等ごとに防衛省令で定める月額2
二業務従事報奨金1防衛省令で定めるところにより、捕虜が業務を行った日の属する月ごとに、業務の種類及び内容、当該業務に要する知識及び技能の程度等を考慮して防衛大臣が定める基準に従い、その月の業務に対応するものとして算出した金額2
2捕虜等抑留給付金の額は、毎月一回の防衛大臣が定める日に、基礎的給付金にあってはその月の月額の全額、業務従事報奨金にあってはその月の前月における金額の全額を給付金計算高に加算するものとする。
(捕虜等抑留給付金の支給等)
捕虜収容所長は、給付対象捕虜等から、第五十九条の規定により使用し、又は摂取することを許された物品の購入(次項において「自弁物品の購入」という。)のため、捕虜等抑留給付金の支給を受けることを希望する旨の申出があったときは、基礎的給付金にあっては当該申出のあった日の属する月の月額及び業務従事報奨金にあっては当該申出のあった日の属する月の前月における金額の合計額の範囲内で支給するものとする。
2捕虜収容所長は、給付対象捕虜等から、自弁物品の購入以外の目的で、又は前項に規定する合計額を超えて捕虜等抑留給付金の支給を受けることを希望する旨の申出があった場合において、その支給が抑留業務の効率的かつ円滑な運営に支障がないと認めるときは、当該給付対象捕虜等に係る給付金計算高の範囲内で、当該申出の額の全部又は一部を支給することができる。
3前二項の規定により捕虜等抑留給付金を支給した場合には、その支給額を給付金計算高から減額する。
(捕虜等抑留給付金の加算の制限)
第五十八条第二項の規定により給付対象捕虜等に物品が貸与され、又は支給された場合には、その貸与又は支給の日の属する月の基礎的給付金の全部又は一部を給付金計算高に加算しないことができる。
(抑留終了時の捕虜等抑留給付金の支給等)
捕虜収容所長は、給付対象捕虜等が次の各号のいずれかに該当することとなった場合には、当該給付対象捕虜等に対し、基礎的給付金にあってはその給付金計算高を証する書面を交付し、業務従事報奨金にあってはその給付金計算高の全額を支給するものとする。
一第百四十四条の規定により送還されるとき。
二第百四十六条の規定により許可されて退去するとき。
三第百四十七条の規定により移出をされるとき。
四第百四十九条の規定により放免されるとき。
(給付金台帳の閲覧)
給付対象捕虜等、捕虜代表又は利益保護国代表は、防衛省令で定めるところにより、第七十三条第二項に規定する給付金台帳を閲覧することができる。
(防衛省令への委任)
この節に定めるもののほか、捕虜等抑留給付金の支給、給付金台帳の管理及び記録その他捕虜等抑留給付金の取扱いに関し必要な事項は、防衛省令で定める。
(利益保護国代表等による面会)
捕虜収容所長は、被収容者に対し、次に掲げる者から面会の申出があったときは、これを許可するものとする。この場合において、捕虜収容所の職員による立会いは、行わない。
一利益保護国代表
二指定赤十字国際機関の代表
三被収容者の刑事事件における弁護人
2捕虜収容所長は、前項の規定により面会を許可するときは、防衛省令で定めるところにより、面会の相手方の用務の処理の目的を妨げない範囲内において、面会の時間及び場所その他の捕虜収容所の管理運営上著しい支障を及ぼさないようにするための必要最小限の事項について指定することができる。
(その他の者との面会)
捕虜収容所長は、被収容者に対し、前条第一項各号に掲げる者以外の者から面会の申出があった場合において、面会を必要とする特段の事情があり、かつ、当該面会を許可することが捕虜収容所の管理運営上支障がないと認めるときは、防衛大臣の定めるところにより、これを許可することができる。
2前項の面会には、面会の相手方の用務の処理の目的に反しない限り、捕虜収容所の職員による立会いを行うものとする。
3面会の立会いに当たる捕虜収容所の職員は、被収容者又は面会の相手方が面会の許可に係る用務の処理のために必要な範囲を明らかに逸脱する行為又は発言を行ったときは、その行為若しくは発言を制止し、又はその面会を一時停止させることができる。この場合においては、面会の一時停止のため、面会の場所から被収容者又は面会の相手方を退出させることその他必要な処置をとることができる。
4捕虜収容所長は、前項の規定により面会が一時停止された場合において、面会を継続させることが相当でないと認めるときは、その面会を終わらせることができる。
(面会の停止等)
防衛大臣は、武力攻撃又は存立危機武力攻撃を排除するために必要な自衛隊が実施する武力の行使、部隊等の展開その他の武力攻撃事態又は存立危機事態への対処に係る状況に照らし、我が国の防衛上特段の必要がある場合には、捕虜収容所長に対し、期間及び捕虜収容所の施設を指定して、前二条の規定による面会の制限又は停止を命ずることができる。
2防衛大臣は、前項の面会の制限又は停止の必要がなくなったと認めるときは、捕虜収容所長に対し、直ちに、当該面会の制限又は停止の解除を命じなければならない。
(信書の発受)
被収容者については、この節の規定によるもののほか、信書を発し、又はこれを受けることを差し止め、又は制限することができない。
(信書に関する制限)
捕虜収容所長は、防衛省令で定めるところにより、被収容者が発する信書の作成要領及び通数並びに被収容者の信書の発受の方法について、抑留業務の円滑な実施のため必要な制限をすることができる。ただし、捕虜代表又は捕虜代表補助者が国若しくは地方公共団体の機関、利益保護国、指定赤十字国際機関又は指定援助団体に対して発する信書であって、第三条約第八十条その他の規定による捕虜代表又は捕虜代表補助者の権限に属する事項を含むものについては、この限りでない。
2前項の場合において、被収容者が発する信書の通数を制限するときは、当該通数は、毎月、第三条約第七十一条第一項に規定する手紙に相当するものとして防衛省令で定めるものにあっては二通、同項に規定する葉書に相当するものとして防衛省令で定めるものにあっては四通を下回ることができない。
3第一項の規定にかかわらず、宗教要員等が第四十二条の規定により被収容者の宗教上の行為を補助し、又は宗教上の儀式行事を行うために必要な宗教団体に対して発する信書については、抑留業務の円滑な実施に著しい支障を生ずるおそれがある場合を除き、その通数についての制限をすることができない。
(信書の検査)
捕虜収容所長は、被収容者が発する信書及び受ける信書について、その内容の検査を行うときは、速やかに行うものとする。
2前項の規定にかかわらず、被収容者が国又は地方公共団体の機関から受ける信書については、その旨を確認するため必要な限度において、これを検査するものとする。
(信書の内容による差止め等)
捕虜収容所長は、前条第一項の検査の結果、被収容者が発する信書又は受ける信書について、その全部又は一部が次の各号のいずれかに該当する場合には、その発信若しくは受信を差し止め、又はその該当箇所を削除し、若しくは抹消することができる。
一暗号の使用その他の理由によって、その内容が理解できないものであるとき。
二その発信又は受信によって、我が国の防衛上支障を生ずるおそれがあるとき。
三その発信又は受信によって、刑罰法令に触れることとなり、又は刑罰法令に触れる結果を生ずるおそれがあるとき。
四その発信又は受信によって、逃走その他被収容者の取扱いに際しての規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとき。
五被収容者の処遇その他被収容者の取扱いの状況に関し、明らかに虚偽の記述があるとき。
2前項の規定にかかわらず、被収容者が利益保護国又は指定赤十字国際機関との間で発受する信書であって、第三条約又は第一追加議定書の規定によるそれらの権限に属する事項を含むものについては、当該事項に係る部分の全部又は一部が同項第五号に該当することを理由としては、その発信若しくは受信を差し止め、又はその該当箇所を削除し、若しくは抹消することができない。
3第一項の規定にかかわらず、被収容者が国又は地方公共団体の機関に対して発する信書であってその機関の権限に属する事項を含むもの及び被収容者が弁護士との間で発受する信書であってその被収容者に係る弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第三条第一項に規定する弁護士の職務に属する事項を含むものについては、これらの事項に係る部分の全部又は一部が第一項第五号に該当することを理由としては、その発信若しくは受信を差し止め、又はその該当箇所を削除し、若しくは抹消することができない。
4第一項の規定にかかわらず、捕虜代表又は捕虜代表補助者が国又は地方公共団体の機関に対して発する信書であってその機関の権限に属する事項を含むもの及び捕虜代表又は捕虜代表補助者が利益保護国、指定赤十字国際機関又は指定援助団体との間で発受する信書であって第三条約又は第一追加議定書の規定による捕虜代表、捕虜代表補助者、利益保護国、指定赤十字国際機関又は指定援助団体の権限に属する事項を含むものについては、その発信又は受信を差し止めることができない。
5第一項の規定にかかわらず、捕虜代表又は捕虜代表補助者が国又は地方公共団体の機関に対して発する信書であってその機関の権限に属する事項を含むもの及び捕虜代表又は捕虜代表補助者が利益保護国、指定赤十字国際機関又は指定援助団体との間で発受する信書であって第三条約又は第一追加議定書の規定による捕虜代表、捕虜代表補助者、利益保護国、指定赤十字国際機関又は指定援助団体の権限に属する事項を含むものについては、これらの事項に係る部分の全部又は一部が同項第五号に該当することを理由としては、その該当箇所を削除し、又は抹消することができない。
(被収容者が発する電信等)
捕虜収容所長は、被収容者が信書によってはその配偶者又は三親等以内の親族と連絡を取ることができない場合その他の防衛省令で定める場合には、電信その他防衛省令で定める電気通信役務を利用して行う通信(以下「電信等」という。)を被収容者が発することを許可することができる。
2捕虜収容所長は、防衛省令で定めるところにより、被収容者が発する電信等の作成要領並びに発信の回数及び方法について、抑留業務の円滑な実施のために必要な制限をすることができる。
3第八十五条第一項及び前条第一項の規定は、被収容者が発する電信等について準用する。
4前三項の規定にかかわらず、捕虜代表又は捕虜代表補助者が国若しくは地方公共団体の機関、利益保護国、指定赤十字国際機関又は指定援助団体に対して発する電信等であって、第三条約第八十条その他の規定による捕虜代表又は捕虜代表補助者の権限に属する事項を含むものについては、信書とみなして、第八十三条から前条までの規定を適用する。
(被収容者が受ける電信等)
被収容者が受ける電信等については、被収容者が受ける信書とみなして、第八十三条、第八十四条第一項、第八十五条及び第八十六条の規定を適用する。
(防衛省令への委任)
この節に定めるもののほか、信書及び電信等の発受に関し必要な事項は、防衛省令で定める。
(捕虜収容所長に対する苦情の申出)
被収容者は、自己に対する捕虜収容所長の措置その他自己が受ける処遇について、捕虜収容所長に対し、口頭又は書面で、苦情の申出をすることができる。
(防衛大臣等に対する苦情の申出)
被収容者は、自己に対する捕虜収容所長の措置その他自己が受ける処遇について、防衛大臣又は防衛大臣の定める幕僚長(自衛隊法第九条に規定する幕僚長をいう。)に対し、書面で、苦情の申出をすることができる。
2前項の苦情の申出は、被収容者が自ら作成し、封をした書面を捕虜収容所長を経由して提出することによって行う。
3捕虜収容所長は、前項の書面を検査してはならない。
4捕虜収容所長は、被収容者が自己に対する捕虜収容所長の措置その他自己が受ける処遇について、捕虜代表又は利益保護国代表に対し連絡することを妨げてはならない。
(防衛省令への委任)
この節に定めるもののほか、苦情の申出及びその処理の手続に関し必要な事項は、防衛省令で定める。